保守党の将来

保守党は、前回の2019年の総選挙で大勝した。しかし、現在、世論調査の支持率で野党第一党の労働党に20%ほどの差をつけられており、次期総選挙では、労働党が勝つのは間違いないと見られている。1997年にトニー・ブレアが地滑り的大勝利を収める前の世論調査結果と現在の世論調査結果が似ているため、同じような結果が次期総選挙で出るのではないかと見る向きもあるが、1997年と比べると、現在の経済状況や労働党リーダーたちの人気が大きく劣るため、スターマー党首率いる労働党の地滑り的大勝利はありそうもないという見方もある。

保守党は、スナク首相の下では、惨敗しそうだという不安が党内で高まっている。そのため、首相を入れ替えようとする動きが出てきているようだ。ただし、そのような動きは、ごく一部の保守党下院議員だけだと否定されている。しかし、もしそのような動きが強くなると、解散権を持つスナク首相が解散に打って出るかもしれないという見方もあり、スナク首相が簡単に座を譲る可能性は少ないかもしれない。いずれにしても当面予断を許さない状況のように見える。

ただし、次期総選挙の前か後かにかかわらず、次の保守党党首は誰がなるだろうか。スナク首相の対抗として今回名前の出ている、ペニー・モーダント(51歳、下院のリーダー・枢密院議長)、それにケミ・ベイドノック(44歳、ビジネス・貿易相)、スエラ・ブレイバーマン(43歳、前内相)、グラント・シャップス(55歳、国防相)らが次期党首の座を狙っているという憶測がある。

上記4人は、いずれも軽量級で、誰が次の保守党党首になっても、保守党の将来が明るくなるとは思われない。保守党では、2019年総選挙前、ボリス・ジョンソン首相の、EUとの合意なしでも離脱するという立場に反対した有能な良識派の下院議員多くが保守党を駆逐された。例えば、ロリー・スチュアートはその1人で、総選挙に出馬しなかった。今では保守党に重量級の政治家が見当たらない。

保守党は、1997年総選挙でブレア労働党に敗れた後、2005年にデービッド・キャメロンが39歳で保守党党首になり、党勢を回復し、2010年総選挙で下院の過半数は獲得できなかったものの第一党になり、自民党と連立政権を組んで首相となった。保守党には新しい人材が必要なように思われる。