ジョンソン首相の保守党信任投票の可能性

保守党の党首だったウィリアム・ヘイグ上院議員が、ジョンソン首相の保守党党首信任投票は、6月6日から始まる週か、6月下旬に行われる可能性があると予想した。

保守党の党首信任投票が行われるには、保守党党首選挙をつかさどる1922委員会の会長に、保守党現職下院議員の15%が党首への不信任を表明し、信任投票を求める手紙を書く必要がある。現在の保守党下院議員数は359であることから、15%は54人となる。信任投票を求めたことがはっきりしているのはこれまで28人だが、公表せずにその手紙を提出している保守党下院議員もおり、その数は合わせて40を超えていると見られている。

その手紙を書いた議員が54人に達すれば、党首の信任投票が行われる。党首の不信任には過半数が必要で、それは、180であり、それを達成できるかどうかは不透明である。もしジョンソン首相・党首が保守党下院議員から信任されれば、それから1年は再び信任投票を行うことはできないことになっている。

ただし、ジョンソン首相への有権者の評価は非常に低くなっている。それは以下のような理由による。

・公に約束したことを守らない

・政策では次々にUターンする

・首相官邸の中の首相住居部の改修費用をめぐる不透明なおカネの流れ

・ロビーイングの下院議員行動規範に違反した保守党下院議員を守るために、保守党下院議員に投票拘束を課して罰則決議に反対させたのに、世論の厳しい反応を受け、それを撤回

・コロナの感染拡大防止のための厳しいロックダウン中に首相官邸内の集まり・パーティに参加し、法律違反で警察に罰金を科された。そのパーティゲートのトップ官僚による調査の不備が明らかになってきており、パーティゲートはまだまだ尾を引く状況である

大臣規範を修正したが、これは、ジョンソン首相が、自分の行動が大臣規範に触れ、首相を辞任せざるを得ない状況を招かないよう大臣規範を修正したと批判された

なお、ヘイグ上院議員の言及した信任投票の時期は以下の理由による。

  • 6月6日から始まる週

その前の週は、エリザベス女王の在位70周年を記念する催しや特別休日があり、議会は休会中で、6月6日に議会は再開する。

  • 6月下旬

6月23日木曜日には、保守党の議席だった2選挙区の補欠選挙が行われる。一つの選挙区では自民党、もう一つの選挙区では労働党が勝つ可能性がある。いずれも保守党が敗れると、ジョンソン首相では次期総選挙を戦えないとする保守党下院議員が増えると思われる。