NHSへの不満が高まる

英国の権威あるNatCen(National Centre for Social Research)のNHS(国民保健サービス)への満足度をはかる世論調査は1983年に始まったが、NHSへの不満は2022年に最悪となった

2010年には満足している人の割合は70%に達したが、それが2022年には、29%と大きく下がっている。これは、年代、収入、性別、支持政党にかかわらず、全体的な傾向だという。一方、不満を持つ人は2020年に25%だったが、それが、2022年には51%に達した。これは、コロナの流行、NHSスタッフの人手不足、さらに診療・治療の待ち時間が非常に長くなっていることが大きな原因だ。2010年の総選挙で、それまで13年間にわたった労働党政権が保守党(最初の5年間は自民党との連立政権)にとってかわられたが、保守党政権の継続した緊縮財政が現在の状況を招いた大きな原因と見られている。

ただし、英国民は、現在のNHSには不満を持ちながらも、医療サービスを受ける際に無料の制度は継続してほしいという。