ジョンソン後の保守党党首選

ジョンソン首相は、保守党党首を辞任した。そして、次の保守党の党首が決まるまで、暫定的に首相の地位にとどまっている。当初、10月2日から5日まで開かれる党大会で次の党首を発表する計画であったが、数々のスキャンダルで自分の内閣の閣僚、そしてその他の役職についている下院議員が次々に辞任し、辞任に追い込まれた状況を考えると、メージャー保守党元首相も直ちに辞任すべきと示唆したように、ジョンソン首相ができるだけ早く退く方が保守党にとって得策だという考えになったようだ。辞任後も次から次に出てくるジョンソン首相のスキャンダルを考えると当たり前のことだろう。

党首選挙を実施する1922委員会の判断で、党首選の過程を早めることとした。党首選は、まず、保守党下院議員投票で、徐々に二人に候補者を絞る。一定の基準を満たさない候補者が次々に脱落していくが、党首選立候補と次のステージへ進める要件を厳しくした。これを下院の夏の休会の始まる7月21日までに行う。そして二人の候補者の討論会を経て、保守党党員の投票で新党首を選ぶ。次期党首の発表は、とりあえず9月5日となった。この日は、下院の招集日である。2016年の保守党党首選では、二人に絞られた後、そのうちの一人が辞退したため、保守党党員の投票はなかった。その場合には、党員の投票なしで党首が決まることになる。

野党の労働党は、9月5日まで待つのではなく、ジョンソン首相は直ちに首相を退くべきであるとして、ジョンソン政権への不信任案を提出する予定だ。野党第一党が政権の不信任案を提出した場合は、これまでの慣例で、下院の時間を特別に取ることになっている。ただし、下院の過半数を占める保守党の下院議員たちがそれに賛成する可能性は少ない。もし万一ジョンソン政権への不信任が可決された場合には、総選挙となる可能性がある。

党首選の立候補は、7月12日に申し込みが受け付けられ、7月13日に最初の投票が行われる。2022年7月11日現在、立候補に必要な20人の支持者(これまでは8人だった)を獲得しているのは、3人である。スーナク元財相がリードしている。ブックメーカー(賭け屋)ではスーナク元財相が最有力候補である。

今後の展開の予想は難しい。スーナク元財相(インド系)が最後の二人のうちの一人になるとしても、その相手がどうなるかで党員の投票の結果が異なってくる。保守党の党員は半分が60歳以上で、その97%は白人だと言われる。興味津々の戦いとなる。