北アイルランド100周年

北アイルランドが生まれて、100周年。これを記念してキリスト教各会派が集まり、2021年10月21日に式典を催すが、それへの招待をアイルランド共和国のヒギンズ大統領が断ったことがニュースになっている。

英国の北アイルランドは、アイルランド島にある。アイルランド島はもともと英国の一部だった。自治を求めるアイルランドのカソリック教徒にアイルランド島の南で自治を認め、英国本土のグレートブリテン島に近い北部に、アイルランド島全域のプロテスタント教徒やグレートブリテン島からの移住者の子孫らを集めて北アイルランドの行政区を設けたのは1921年である。それ以降、北アイルランドを南部の現在のアイルランド共和国と併合させる運動が今でも続いている。血を血で洗うようなトラブルズという時代を経て、1998年のベルファスト(グッドフライデー)合意で事態は落ち着いてきている。

北アイルランドのアイルランド共和国への併合を求める人たちをナショナリスト、それに反対して、北アイルランドの英国との関係を維持することを求める人たちをユニオニストと呼ぶ。ナショナリストの中で、武力を使ってでも目的を達成しようとする団体に「IRA暫定派(Provisional Irish Republican Army)」があったが、この団体の政治部門が現在のシンフェイン党に脱皮し、ベルファスト合意に署名し、IRA暫定派は武器を捨てたと宣言した。しかしながら、この動きに納得しないIRAの分派が今でもまだ活動しており、その中で「新IRA」と呼ばれる団体の銀行口座が凍結されたとの報道がある。

ヒギンズ大統領は、これまでの対立の歴史からの和解に力を尽くしてきた人物だと考えられているが、記念式典への招待を断ったのは、そもそも北アイルランドを設けたことに不満を持つ人たちに配慮したためではないかと思われる。

北アイルランドの問題は簡単なものではない。アイルランド共和国の副首相(前首相)レオ・バラドカーが今年6月に「自分の生きている間にアイルランドが統一されるかもしれない」と発言して議論を呼んだが、その前の4月のBBCの世論調査では、北アイルランドとアイルランド共和国のそれぞれの住民の過半数が、25年後には北アイルランドはアイルランドに統一されているだろうと見ていることがわかっている。

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