なぜ保守党は総選挙を避けたいのか?

611日、保守党の無役の下院議員の会、1922年委員会のブレイディ会長がテレビに出演し、議員たちには「総選挙に臨みたいという気持ちはない」と発言した。この会は、保守党の党首選挙を運営し、また党首への不信任案を扱うなど非常に重要な役割を果たしている。68日の総選挙の結果が分かった9日には、ブレイディはメイ首相と会談している。

この発言の背後には、総選挙で保守党が13議席減らしたのに対し、前評判を覆して2015年総選挙から30議席を積み増した労働党の現状がある。もし総選挙が行われれば、勢いのある労働党がさらに議席を獲得し、メイ政権ではなく、労働党のコービン政権が誕生するだろうという判断がある。

これには、総選挙後の最初の世論調査が指標となっているように思われる。Servationの政党支持率は以下の通りである。

労働党45%、保守党39%、自民党7%UKIP3%、その他6%

労働党が保守党を6ポイントリードしている。すなわち、労働党がさらに議席を伸ばし、保守党は減らすことを示唆している。

Servationは、今回の総選挙で、多くの世論調査会社が世論の状態を読み誤ったのに対し、最も選挙結果に近かった。実は、2015年総選挙でも世論調査会社がこぞって読み誤った。その中、Servationは、ほとんど正しい結果を出していた。ある新聞社と話をしたそうだが、他の会社のものと比べておかしいとして乗り気ではなく、結局、選挙前発表しなかったという話がある。これらの事実から考えると、Servationのこの選挙後の世論調査はかなり信用できるものだと言えるだろう。

このような政情の中で、前財相のジョージ・オズボーンが、メイ首相は、「死刑囚(Dead Woman Walking)」だと発言した。「死刑を待っている女性」だというのである。総選挙の結果、メイ首相の権威はなくなった。本来なら、党首選挙の話が大きく取り上げられるところである。

611日の日曜紙は、ボリス・ジョンソン外相の出馬の憶測を大きく取り上げたが、ジョンソン本人は、くだらない話だと打ち消した。もちろん、上記のServationの世論調査でもジョンソンが最も有権者の支持を集められる候補だ。しかし、党首選となれば、ハングパーラメントの状態の中で、新しい党首は、総選挙を求められるだろう。その時期ではないという判断から、ジョンソンらは様子を見ており、メイ首相が存命している状況だ。611日に行われた内閣改造では、主要閣僚を異動させることができなかった。多くが、サンデーテレグラフ紙が1面トップで指摘したように、メイは首相だが、権力はなくなったと見ている。

ただし、このようなメイ政権で、果たしてきちんとしたEU離脱交渉ができるかという疑問がある。また、メイ政権が北アイルランドの民主統一党(DUP)の支援で、過半数の数を確保できたとしても、それが何らかの事情で機能しなくなる可能性も無視できないように思われる。労働党は、メイ政権の政策を発表する「女王のスピーチ」で、大規模な修正案を出してメイ政権を揺さぶる構えだ。事態はかなり流動的だと言える。

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