6月6日のジョンソン首相に対する保守党党首信任投票は、ジョンソン首相が過半数の信任投票を得た。ただし、信任と不信任の割合は59%対41%だった。すなわち保守党下院議員の10人に4人がジョンソン首相を降ろし、他の人物を保守党党首そして首相として担ぐことを望んでいることがわかったのである。
ジョンソン首相は、6月7日、自分が勝ったとして、この問題に一線を画し、現在なすべき仕事に専念すべきであると主張した。しかし、ジョンソン首相を批判する保守党下院議員の多くは、ジョンソン首相を倒す目的をそう簡単にあきらめる様子ではない。ジョンソン首相では、次期総選挙に勝てないどころか保守党のイメージを大きく傷つけ、回復が困難な状況になりかねないとし、1年間は再度の不信任投票はできないという現在の保守党のルールに従う意図はないようだ。
ジョンソン首相の問題は、ジョンソン首相反対側がまとまった行動をしているのではなく、むしろ党内の左派、右派、中間派など様々な流れの下院議員が、それぞれほとんど自発的に行動している点にある。すなわち、それぞれの流れによって、求めるものが異なる。それぞれの求める政策を実施することで議員を懐柔することは難しい。一方では、パーティゲートの余韻は続く。
6月6日の信任投票は、不信任票が予想外に多かったが、この信任投票の割合、59%対41%を予測した学者がいる。このリバプール大学のトンジ教授によると、保守党下院議員の動静の細かな分析を行い、6月6日の情勢の報道を付け加えて、信任票59%(211票予測通り)と41%(1人がいずれにも投票しないと見て137票を予測したが、実際には138票だった)としたという。この予測は、信任投票が行われた6月6日午後6時から8時の直後、午後8時2分にツイッターされ、結果が午後9時に発表された。この学者は、このような予測をしばしば行っており、他の学者から注目されていると言われる。この学者によると、ジョンソン首相は秋には退陣するという。
下院の名誉委員会(Committee of Privileges)が、ジョンソン首相がパーティゲートをめぐって下院でウソの発言をしたかどうかを調べることになっているが、この委員会が厳しい調査報告を発表するためだという。この分析は恐らく正確だと思われる。上記で述べたように、保守党下院議員の動静を分析して信任投票の結果を予測したが、この分析は、名誉委員会の委員にも適用されているだろうからである。名誉委員会の委員は、下院の勢力構成に従い、保守党4名、労働党2名、スコットランド国民党(SNP)1名である。労働党の1名が委員長であるが、これまでジョンソン首相に批判的な発言をしているため、この審議に携わることを辞退したため、保守党4名、労働党1名、SNP1名で構成されている。この委員会は、これまで公表されていない写真、メッセージなども含めて調べるとされている。
ジョンソン首相が安心できる状況とは程遠く、保守党の苦しみは続く。