TV討論を避けるキャメロン首相

2015年総選挙では、2010年の際のような党首のテレビ討論はないかもしれない。ただし、保守党のキャメロン首相がミリバンド労働党党首との11のテレビ討論には出演する可能性、または、保守党抜きのテレビ討論が行われる可能性がある。それでもキャメロン首相が保守党の党首としてイギリス独立党(UKIP)と一緒に登場することはないだろう。

イギリスの主要なTV局は、昨年10月、テレビ討論の形について合意している。3回のテレビ討論のうち、1回はUKIPが参加し、主要3党、保守党、労働党、自民党とともに討論する計画だった。しかし、キャメロン首相は、UKIPが招かれ、緑の党が招かれないのは不公平だとし、緑の党が招かれなければ出ないと主張したのである。

テレビや通信を監視する放送通信庁(Ofcom)がUKIPを主要政党と認定した。昨年5月の欧州議会議員選挙でUKIPがイギリス選挙区1位となり、また昨年10月、11月に行われた2つの補欠選挙でUKIPが勝った。また、世論調査では労働党、保守党に続き、第3位で10%台の支持を集めている。一方、Ofcomが主要政党と認めなかった緑の党は2010年に1議席を獲得、最近、世論調査で支持を伸ばしているもののその支持は1桁に留まる。

キャメロン首相の発言に対し、UKIPや労働党は、キャメロン首相は、テレビ討論に怖気づいていると批判したが、キャメロン首相がテレビ討論に出たくないのは明らかである。

2010年の総選挙では、イギリス史上初めて選挙期間中に党首のテレビ討論が行われた。3回行われ、有権者の関心が強く、第一回目には1千万人が視聴した。その結果、クレッグ自民党党首の大きなブームが起き、クレッグマニアと呼ばれるほどの現象となった。 

選挙後、保守党の元副幹事長アッシュクロフト卿が、保守党はこのテレビ討論のために過半数を獲得できなかったと指摘し、このテレビ討論に合意したキャメロンを批判した。この見解を支持する人は多い。

結局、キャメロン首相は、テレビ討論への出場は、リスクが大きすぎると判断し、避けようとしていると思われる。首相である自分が出演することで、討論に参加する他の政党に注目される場と権威を与え、有権者の関心を増す可能性がある。さらに討論で必ず勝てる、もしくは保守党の評価が上げられるという保証がない。5月の欧州議会議員選挙前に、自民党のクレッグ党首・副首相がUKIPのファラージュ党首に討論を申し入れ、二人だけの討論が行われた。クレッグはこの討論にかなり自信を持っていたようだが、討論ではファラージュ党首のパフォーマンスに大きく劣り、自民党には大失敗に終わった。

キャメロン首相がファラージュ党首との討論を避けたいと考えているのは明らかであり、むしろテレビ討論そのものにリスクがあると判断していると思われる。

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