ロンドン市長が道路課金システムの導入を提案

ロンドン市長ボリス・ジョンソンが、「大気汚染による早死を防ぐため」に大気汚染を改善するための方策を提案したが、その中で道路課金制度(Road Pricing)の導入を提案した。これは自動車の走行距離などに応じて自動車の持ち主が費用を支払うものである。大気汚染で早死にする人の数は年に29千人いると言われる。

なお、ロンドンでは中心部に既に混雑税が導入されており、CCTVと自動車のナンバー識別技術を利用して管理している。

かつて労働党政権時代の2005年に道路課金制度の導入が提案されたことがある。衛星を使い、自動車の走行距離に応じて、1マイル(約1.6キロ)あたり、自動的に混雑していない道路の2ペンス(3.5円)から最も混雑している道路のピーク時に1.34ポンド(208円)まで課そうとするものであった。しかし、オンラインでこの制度導入反対の嘆願書が180万に達し、結局労働党政権は2009年断念するに至った。

ジョンソンの提案には、既に自動車で走れば走るほど多くの燃料税を支払っているという批判があるが、走行距離や場所、さらに自動車のタイプなどに応じて簡単に課金できる制度は、いずれは導入されることになると思われる。

自民党の生活費危機対策

イギリスの経済はG7で最も成長しているが、賃金上昇は停滞している。むしろ物価の上昇を考えれば、マイナスとなっている。 

この中、自民党は来年5月に予定されている総選挙のマニフェストで、それを考慮に入れた政策を打ち出す構えだ。

自民党は2010年の総選挙で、所得に税のかかり始まる、課税最低限度額を1万ポンド(170万円)に上げると約束した。これは既に達成したが、次の総選挙のマニフェストでは、これを12,500ポンド(213万円)にするという。そしてそれを達成した後、国民保険(National Insurance)の労働者負担を下げたいという。

この国民保険は、実は所得税とそう大きく異なるものではない。積立のように将来のために使われるというものではなく、現在、このお金の大半は老齢年金の支払いに回っている。国民保険は、雇用者と被雇用者の両方が支払っているが、現在、所得が8千ポンド(136万円)以上の人が支払っており、ほとんどの人は所得の12%支払っている。

自民党が国民保険に注目している理由の一つは、所得税の課税最低限度額を上げても、既に所得税を支払っていない低所得者の人たちに恩恵がないことである。 

確かにこれはわかりやすい政策だろう。しかし、これは消極的な政策と言えるのではないか?これをマニフェストの目玉とし、「減税政党」のイメージを与えたいのはわかるが、同時に、もっと積極的に賃金が上がる政策を打ち出すことが必要に思える。