停滞傾向にあるリフォームUK党

右のリフォームUK党の支持が停滞している。さらにリフォームUK党の運動員に、強い人種・同性愛偏見を持つ人がいることが大きく報道され、リフォームUK党の勢いがどうなるか注目される。

7月4日投票の総選挙が始まった後の6月3日、ナイジェル・ファラージュがリフォームUK党の党首に就いた。ファラージュは、英国独立党(UKIP)の元党首で、これまで小選挙区制の総選挙に7度立候補したが、一度も当選したことがない。地域比例代表制で選ばれる欧州議会議員選挙では、英国のEU離脱を唱えたUKIPを率い、21年間欧州議会議員を務めたが、英国がEUを離脱したため、その議席がなくなった。

そのUKIPを基に生まれたのが、リフォームUK党である。今回の総選挙で、保守党への支持が弱い中、保守党に見切りをつけて、リフォームUK党を支持する人が増え、さらにファラージュがそれまでの名誉会長職から党首に就き、大きく報道され、世論調査の支持率が大きく向上した。支持率は、11%程度だったのが19%程度まで上昇し、保守党の支持率を上回る世論調査がいくつも出現した。しかし、ファラージュのウクライナ問題を巡る、「西側のNATOやEU拡大がロシアにウクライナ侵攻を触発した」旨の発言で、支持が17%程度まで下がってきた。さらに今回のテレビ局Channel 4の覆面リポーターが、ファラージュの立候補している選挙区で密かに撮ったビデオで、ファラージュの幹部運動員らが強い人種偏見や外国人嫌いの発言をしていることが明らかになった。ファラージュは、そのような発言は非難されるべきだとし、それに関係した運動員は、もう自分の選挙に関係していないとしたが、リフォームUK党の本質が大きく浮き彫りになったことで、支持率が再び上昇することは難しいと思われる。

この展開で、漁夫の利を得ると見られているのは、保守党である。前回の2019年総選挙で保守党に投票した有権者のかなり多くがリフォームUK党に支持を移しているが、その一部が保守党に再び返ってくる可能性があるからだ。それでも、労働党が大勝利を収める情勢は変わっていないと思われる。

今回のリフォームUK党の問題の影響がどの程度かは、今回の問題を反映した世論調査が出てくる数日後になるだろう。保守党とリフォームUK党への支持動向、そして労働党への影響など注目される。

最後の二大党首討論(続き)

2024年7月4日の総選挙投票日まであと一週間となった。6月26日には、最後の二大党首討論が行われ、保守党のスナク首相と労働党のスターマー党首の討論が行われた。この討論の結果は、世論調査会社YouGovが討論終了後、互角の結果だったとの結果を発表した。

その後、もう一つの世論調査の結果が発表された。More in Common社の結果は、労働党のスターマー党首の方が良かったという割合が56%、スナク首相の方を高く評価した割合は44%。この世論調査の追加の質問で、スターマーは、税金、NHS、生活費、移民の政策、ならびに「政治に正直さと誠実さをもたらす」という点すべてでスナクを上回った。

スナクは、6月27日には、労働党に「降伏」するなというキャンペーンを打ち出したが、戦争でもないのに、このようなスローガンは不適切だという批判を浴びた。スターマーはそれに「死に物狂いだ」とコメントした。