7月4日(木)の総選挙まであと3日となった。英国では、選挙は木曜日に行われる。これから7月3日まで様々な世論調査と獲得議席予測が出てくる。
今回の総選挙で特徴的なのは、大勝が予想される労働党の支持率は40%ほどであるが、これは、それほど高い数字ではないことだ。例えば、労働党は2017年の総選挙で40.0%の得票率で262議席だった。なお、その総選挙で最も多くの議席を獲得したのは、42.3%の得票率で317議席を獲得した保守党だった。保守党は、全650議席の過半数に至らず、北アイルランドの民主統一党(DUP)の閣外協力を得て、政権を維持することになった。
今回の総選挙では、世論調査会社による選挙が始まってからの議席予測では、労働党の支持率が40%ほどであるにもかかわらず、450議席以上を予測しているものがほとんどだ。5月22日の総選挙発表日から6月末までに発表された10MRPと1SRP予測のうち8予測がそうである。これは、保守党の支持が激減していることに関連している。2019年総選挙では、保守党は43.6%の得票率で365議席を獲得した。この選挙では、リフォームUK党の前身ブレクシット党(元UKIP)が、英国のEU離脱を優先するとして現職の保守党下院議員の議席に候補者を立てなかった。今回は、リフォームUK党が各選挙区に候補者を立てており、2019年総選挙で保守党に投票した人の4人に1人がリフォームUK党に支持を変えている。さらに労働党や自民党に支持を移した有権者も多い。また、保守党と自民党が競っている選挙区では、労働党支持者のかなり多くが保守党に勝たせないためにタクティカルボーティングで自民党に投票する。一つの選挙区で最多の得票をした人が一人だけ当選する完全小選挙区制の英国では、労働党の支持率がそう上がらなくても、労働党と議席を競う他の主要政党の支持率が下がれば、相対的に労働党候補者が強くなる。
ただし、人種差別発言などの影響で、リフォームUK党の勢いがなくなってきている兆しがあるように感じられる。総選挙日まであと3日間で、総選挙の結果はもう決まったというような雰囲気があるが、情勢の推移を見守っていく必要があるだろう。