エリザベス女王の遺したもの

英国のエリザベス女王が9月8日に96歳で亡くなった。その70年を超す治世は、ウィンストン・チャーチルから現在のリズ・トラスまで15人の首相の期間にわたる。亡くなる2日前には、トラスを首相に任命した。通常、ロンドンのバッキンガム宮殿で行われる、前首相の辞任受領と新首相の任命を、女王が動きづらいということで、スコットランドのバルモア城で行ったが、杖をつきながらも笑顔でトラスと握手した姿が忘れられない

多くの国民から尊敬され、親しまれてきた女王である。ダイアナ妃の1997年の交通事故死で国民の強い批判を浴びたが、その行動は、王室の維持存続を第一義に置きながらも、国民への奉仕を優先しておこなってきた。エリザベス女王の伝統は英国皇室のモデルとなるだろう。

その女王の存在が、英国の3人の女性首相を生んだとする見方がある。サッチャー、メイ、そして現在のトラスと3人の女性首相は、女王がいたので受け入れられやすかったというのである。

翻って日本を見ると、女性の社会進出は徐々に前進しながらも、世界的には非常に遅れている。ジェンダー・ギャップ指数では、日本は世界119位であり、政治分野では世界139位で、世界の最下位圏にある。政治分野では、サウジアラビアの132位を下回っている。この日本の女性の現状と日本の皇室の継承の考え方には強い関連があるように思える。女性が日本をリードしていくことを問題なく受け入れられる環境づくりが重要ではないか。