ジョンソン首相が2021年9月15日、内閣改造を行った。3閣僚が更迭された。なお、ジョンソン内閣の財務相はヒンズー教徒、新教育相はイスラム教徒だ。タイムズ紙のコラムニストで元保守党下院議員のマシュー・パリスは、かつてサッチャー首相に仕えたことがある人物だが、ジョンソン首相は山師で、ジョンソン内閣は、山師の内閣(BBCのRadio4のTodayの最後の5分ほどの中のコメント)だという。
過去の多くの英国首相を分析しているアンソニー・セルドンは、成功する首相のチェックリスト(Institute for Governmentのポッドキャスト)をあげている。そのトップ5は、以下の通りだ。
1.鉄の意志
2.はっきりしたビジョン
3.国民とのコミュニケーション能力
4.自らに近い人々を容赦なく切って捨てる冷酷さ
5.内閣と首相官邸のスタッフに適切な人を選ぶ
このうち、ジョンソン首相にあると思われるものはそれほどない。ただし、今回の内閣改造でマイケル・ゴーブ大臣を「住宅・コミュニティ・地方政府大臣」とし、地方の格差を解消させ、英国の統合を維持する役割を与えたのは重要だと思われる。ゴーブは、恐らく保守党の中で最も能力のある政治家だ。その政治家に喫緊の課題を担当させるのは、5の「適切な人」と言えるだろう。ただし、ジョンソン首相の問題の一つは、対応が後手に回る傾向があることだ。ゴーブがジョンソン政権の抱える問題で結果を出すには、それなりの時間がかかる。今回の内閣改造が結果を生むかどうか注目される。