ボリス・ジョンソン外相が、メイ首相がEU離脱後導入したいと考えている、EUとの関税パートナーシップ案を愚かな案だとけなした。ジョンソンは、この案のアイデアをこれまで閣僚として支持してきた。ところが、保守党内で影響力の増しているジェイコブ・リース=モグ率いる強硬離脱派のERG(European Research Group)がこの案では求められたEU離脱はできないと強く反対し、関税パートナーシップの問題点が浮き彫りになっていることから気持ちが変わったようだ。
ジョンソンが気持ちを変えるのはそう稀なことではない。そもそも2016年のEU国民投票前にも残留派、離脱派でなかなか立場を決められなかった。それでも残留派でキャンペーンすると思われていたが、直前になって離脱派に変わった。
その原因は、残留派が予想通り勝てば、残留派の中心人物だった当時のオズボーン財相がキャメロン後継者の地位をさらに固めると見られていたためのように思われる。離脱派で運動すれば、保守党内で強い離脱派のリーダーとしてオズボーンに対抗できると判断したためだろう。
自分の損得やその場の状況で立場を変えるのはジョンソンにとってそう不思議なことではない。
ただメイ首相は閣僚として前例のないジョンソンの批判を受け流し、ジョンソンを外相の地位にとどめるつもりだ。メイ首相の弱い立場を改めて浮き彫りにした出来事だと言える。