スターマー首相への最初の反逆

2024年7月23日、下院で先週の「国王のスピーチ」に対する修正動議が採決された。スターマー首相は、率いる労働党が全650議席のうち412議席を獲得し、下院で圧倒的に強い立場にある。

この修正動議は、2017年に保守党政権が導入した制限、子供養育に対する手当は子供2人までとする、を撤廃するというものである。すなわち、2人を超えても受けられるようにして、子供の貧困が問題になっている中、多くの子供を貧困から救おうという動きである。

スターマー首相は、総選挙中から、この制限を撤廃する余裕はないと繰り返し主張してきた。財政研究所(IFS)によると、これを撤廃すれば、年に約34億ポンド(6800億円)必要になるようになるだろうとする。それでも、労働党の中にその撤廃を公に訴える議員たちがいる。それに対して、スターマー首相は、7月22日、将来の撤廃を示唆している。

採決は、賛成103、反対363で否決された。制限撤廃には、スコットランド国民党、プライド・カムリ、緑の党、リフォームUK党、保守党、それに無所属の議員らが賛成した。それに労働党の下院議員7人が加わったが、いずれも労働党の左派の議員である。この7人は、労働党下院議員の資格を6か月間停止された。すなわち、下院には出席できるが、6か月間は無所属の下院議員としてということになる。そして、6か月後に見直しをするというのである。労働党議員で棄権したのは、42人だったとされる。

スターマー首相は、労働党の強い立場にかかわりなく、反逆には強い制裁で対応する意思をはっきりと示し、手綱を緩める様子は伺われない。これから強力に進める経済改革や規制緩和などで障害になりそうな労働党の左派の動きを抑える、または、排除する考えがあるのかもしれない。