同性結婚法案の投票結果(Voting Results on Gay Marriage Bill)

 

2月5日、下院は同性結婚の法制化に賛成した。しかし、保守党のキャメロン首相らが賛成したにもかかわらず、保守党内の反対票が賛成票を上回った。賛成が127であったのに対し、反対は136で、棄権が登録棄権(賛成反対の両方に投票)を含めて40だった。

実際、同性結婚が法で認められるようになるのは、単に時間の問題で、早晩それは実現すると考えられていた。労働党政権下で法制化されたシビル・パートナーシップの宗教的な制限をキャメロン政権下で廃止するなど、キャメロンは、この問題に前向きであった。

キャメロンは、保守党内に多数の反対があったが、同性結婚の法制化を推し進めた。今回の採決では自由投票としたが、保守党内の状況の困難さがはっきりしており、キャメロン首相は、保守党内の過半数の賛成と、賛成票が反対票を上回ることを目標としたと言われる。しかし、いずれも達成できなかった。結果は、キャメロン首相の党内の立場を弱めることとなった。

結果詳細は以下の通りである。

反対:保守党136;労働党22;自民党4;民主統一党(DUP:北アイルランド)8;無所属2(保守党党員資格停止中のナディーン・ドリスと北アイルランドのシルビア・ハーモン)

賛成:保守党127;労働党217;自民党44;ウェールズ民族党(プライド・カムリ)3;緑の党1;社会民主労働党(北アイルランド)1;北アイルランド同盟党1;リスペクト(ジョージ・ギャラウェイ元労働党下院議員)1;無所属1(労働党の党員資格停止処分を受けた後、労働党を離党したエリック・ジョイス)

登録棄権(賛成と反対の両方投票):保守党5

参照http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-21346694

同性結婚法案の下院投票:大差で可決(MPs Back Gay Marriage legislation)

2月5日、下院で同性結婚法案の第二読会の採決があり、賛成400、反対175で可決された。これまでのところ保守党の賛成票は132、反対票は140だったと見られ、キャメロン首相率いる保守党では、反対のほうが上回ったと見られている。労働党と自民党の大多数、その他が賛成したために、賛成のほうがかなり多い結果となった。

第二読会(Second Reading)とは、法案の基本的な考え方を審議、採決するものであり、これからすべての審議、手続きを済ませるには今しばらく時間がかかる。その手順は以下のようである。
http://services.parliament.uk/bills/2012-13/marriagesamesexcouplesbill.html

さて、キャメロン首相は、同性結婚を法的に認めることが必要だと強く信じていると言われる。もちろん、この同性結婚法案を強く求めていた自民党の手柄とする前に自分の手で成し遂げたいという計算や、保守党のイメージを上げ、保守党がかつての「いやな政党」から変わったということを印象づけたいという判断はあったものと思われるが、今回の法案への党内からの反対は、予想以上に強かった。

今や、保守党はバラバラと見る人が非常に多くなっている。これには保守党内に党首選を画策している動きがあると報道されたことも影響していると思われる。YouGov/The Sunの世論調査では、71%が保守党はバラバラだと見ており、まとまっていると見る人はわずかに10%しかいない。これはYouGovの調査では2003年以来最悪である。
http://ukpollingreport.co.uk/blog/archives/6962

このバラバラだという見方は、保守党支持者の間でもそうで、まとまっていると見る人は27%にとどまる。
http://d25d2506sfb94s.cloudfront.net/cumulus_uploads/document/qrruukef6y/YG-Archive-Pol-Sun-results-040213-same-sex-marriage-divided-parties.pdf

キャメロン首相は、少し背伸びし過ぎている気配があるように感じられる。