有権者は何に興味があるか?(What Interests Voters)

ある世論調査によると、最近最も注目を集めた三つの政治的な出来事の中で、有権者が最も関心を示したのは、以下の順だった。

1.4分の3の人「おばあちゃん税(年金受給者の中により多くの所得税を払うことになった人が出る税制変更)」
2.3分の2の人「パスティ税(店で買う温かい食べ物、パイやパスティなどにかかる新税)」
3.2分の1の人「保守党に巨額の政治献金をした人が首相官邸のアパートで首相と食事」

面白いのは、有権者は一般に政治スキャンダルの詳細には関心がないことだ。政治献金については、4分の3の人が、「政治献金はいくらでもいいが、詳細は発表すべき」と言い、「大きな政治献金を禁止して、国が政党補助をすべき」という考えには4分の3の人が反対している。

政治家の考え方と有権者の見方はかなり違うようである。

この世論調査はアッシュクロフト卿の行ったものである。億万長者のアッシュクロフト卿は、保守党の有力支援者であり、かつては副幹事長として保守党の数々の選挙に直接携わった。2005年並びに2010年総選挙での保守党への貢献は非常に有名だ。アッシュクロフト卿は、世論調査に依頼して世論調査をかなり頻繁に行っている。ここで引用した世論調査は以下のウェブサイトに出ている。これは、別の世論調査会社YouGovのメンバーで、ウェブサイトUKpollingreportを主宰するAnthony Wellsによるとタイムズ紙が使っているPopulusの行ったものだという。
http://www.lordashcroft.com/polling/03042012_lord_ashcroft_publishes_party_funding_poll.html

キャメロン首相就任以来最悪の週(The Worst Week for Cameron)

どの政治家にもこのようなことが起きるといえる。問題が一挙に吹き出ることだ。キャメロン首相は、労働党首相だったハロルド・ウィルソンの言った「政治では1週間は長い」言葉が実感していると思う。

2週間ほど前には、訪米したキャメロン首相をオバマ大統領が丁重にもてなし、キャメロン首相の威信が増したと見られた。ところが、先週の予算で、年金生活者からお金を奪ったと言われ、「おばあちゃん税」と名付けられ大きな批判を浴びた。

そして先週末の「巨額の政治資金で首相に面会」暴露事件だ。首相官邸の上の首相が家族と住んでいるアパートへ招待したゲストリストは発表しないとしていたがマスコミからの圧力に屈し、結局発表。

その上、コーニッシュパスティやパイなどの温めた食べモノへVATをかける「パスティ税」を正当化しようと首相自らがパスティを食べたと言ったが、ウソだと発覚。

またタンクローリーの運転手たちがストライキに賛成したことからストライキの日も決まっていないのに国民に車のガソリンタンクを満杯にする、ガソリンやディーゼルオイルなどを予め買っておくようにとアドバイスしたことからパニック買いが始まった。当初政府はジェリカン(灯油缶と同じ)で買いだめしておくようにと勧めたが、消防などからそれは危険だといわれ、そのアドバイスを取り下げた。ところがモータリストは、ガソリンタンクを満杯にした上、ジェリカンでも買っている。そのため、ガソリンスタンドには長い行列ができ、しかも売り切れのガソリンスタンドが次から次に出ている。マスコミは、これを政府が自ら引き起こしたパニックだと政府を批判。

この中、世論調査では、野党の労働党が支持率で、キャメロンの保守党に10ポイントの差をつけている。3月30日にわかったYouGovの世論調査によると、保守党34%、労働党44%、そして自民党8%。YouGov以外でもComResも数日前に労働党の10ポイントリードを記録している。ComResの場合、これほど労働党がリードしたのは2005年以来だという。