選挙で選ぶ警察コミッショナーの導入(The New Police and Crime Commissioners)

英国政府は、イングランドとウェールズのそれぞれの警察管区に新たに選挙で選ばれた警察・犯罪コミッショナー(Police and Crime Commissioner)を設ける。これは、もともと2010年の総選挙で保守党のマニフェストに含まれていた公約だが、それが自由民主党との連立合意で確認されていた。それが昨年法制化されたものである。

ロンドンでは、2012年5月に市長選があり、市長となった者が警察・犯罪コミッショナーとなるが、それ以外のイングランドとウェールズの41の警察管区では、2012年11月15日に、それぞれの管区の選挙で選ばれる。

なおロンドンでは、ロンドン警視庁の警視総監がコミッショナーと呼ばれるが、これとロンドン市長の就く警察・犯罪コミッショナーとは異なる。それ以外の警察管区では、トップの警察官はChief Constable警察管区本部長と呼ばれる。警視総監と警察管区本部長は、警察実務の責任者で、警察・犯罪コミッショナーは、活動目的を設定し、監視し、監査する役割を果たす。

警察・犯罪コミッショナーの主な仕事は以下の通りである。
• 犯罪を少なくする。管区内で効果的、効率的な警察サービスを提供する。
• 一般の人の意見を汲んで、警察の優先目標を決める。
• 予算を決める。税を課することもでき、管区内並びに全国的な優先項目がきちんと予算の裏付けがあるよう確保する。
• 管区警察の実績に関して警察本部長の責任を問う。
• 管区内のコミュニティーのニーズにできるだけ効果的に応え、代表する選挙民の生活にじかにはっきりとした違いを出す。

注:
保守党マニフェスト p57
http://media.conservatives.s3.amazonaws.com/manifesto/cpmanifesto2010_lowres.pdf
連立合意書 p13
http://www.direct.gov.uk/prod_consum_dg/groups/dg_digitalassets/@dg/@en/documents/digitalasset/dg_187876.pdf#search=’Coalition government agreement’
法律
Police Reform and Social Responsibility Act 2011
http://www.legislation.gov.uk/ukpga/2011/13/contents/enacted/data.htm

財政カットに苦しむ英国の地方自治体(Local governments, suffering from budget cuts)

英国政府の緊縮財政で、地方自治体が苦しんでいる。その状況はこれまで断片的にマスコミが報道してきたが、あるチャリティ財団がまとまった報告書を出した。

(http://www.jrf.org.uk/sites/files/jrf/communities-recession-services-full.pdf)

この報告書によると、2015年までの4年間で政府からの財政支出は実質ベースで40%減るが、このような大きな削減では、効率改善策だけでは到底対応できない。その削減の影響の大きさは地方自治体によりかなり異なる。裕福な地域の自治体への影響は比較的軽いが、貧困地域の自治体が特に大きな影響を受けている。社会的な弱者はそれ以外の人と比べて、公共サービスにより依存していることが事態をさらに悪化させている。

参考:http://www.bbc.co.uk/news/uk-16744676