法務省が新しい出所者再犯防止対策を発表(Measures to prevent re-offending)

法務大臣が、刑期12か月未満の出所者を対象に再犯防止のための新しい制度を導入すると発表した。これらの出所者の1年以内の再犯率が56.8%と高いことから、それを低くするための対策である。

刑期が1年以上の者については、服役後、許可条件付きで保釈され、その条件には保護観察官と定期的に会ったり、指定宿泊所に住んだり、麻薬やアルコール依存症のリハビリなどが含まれている。

しかし、これまで、刑期12か月未満の出所者は、基本的に、46ポンド(6千円)を与えられ、刑務所の門から出るだけであった。しかし、これを改め、メンター(助言者)にサポートさせる体制を敷く。メンターは、更生した元服役囚を含み、服役囚が出所する前から本人に面会し、お互いによく知っているようにする。また、私企業や慈善団体などの協力を得、出所時から、それぞれの出所者の住む場所や社会福祉手当、リハビリ、さらには求職相談やトレーニングを受ける準備ができている体制とする方針だ。これらの出所者は、家庭として機能していない環境にあることが多いため、きちんと面倒を見る必要があるためだ。

この計画は、必要な法制化作業などを経て、2015年までに実際に運用されることとなるという。この仕事に携わる私企業や慈善団体などは、再犯率を低くできた場合のみに政府から報酬を受けることとなる。

この計画が成功し、再犯が減れば社会に大きく貢献することになるだろうが、計画通りにいくだろうか。まず、費用の問題である。2011年4月から2012年3月の間に12か月未満の刑期を受けた者は5万人余りいる。それらの人たちに上記のような「サービス」を提供することが、省予算が4分の1カットされる状態で可能かどうかだ。

さらに、刑務所の中では、麻薬が流通しているとよく言われる。刑務所に入ったために悪くなったという人も少なからずいるようだ。まずは、服役中の更生にさらに力を入れる必要があるように思われる。刑務所を出てからの更生だけでは難しいかもしれない。

オリンパス元社長の経験(Former Olympus CEO’s Experiences)

光学メーカー、オリンパスの社長を務めたマイケル・ウッドフォードが自分の経験を書いた本「暴露:オリンパススキャンダルの内幕―私がいかにCEOから内部告発者になったか」が11月29日に発売される。既に大きな注目を集めており、英国のアマゾンでは、すべての本の中で現在1787位である。

ウッドフォードは、2011年、オリンパスとの戦いで、英国でビジネス関係の様々な賞を受賞した。不当解雇されたことなどについては、既にオリンパスと和解し、1000万ポンド(12億6千万円)の和解金を受け取っている。

英国の日曜紙で最大の売り上げ部数のサンデータイムズ紙の付録のマガジンが、表紙にウッドフォードを取り上げ、その話が中で6ページにわたり取り上げられている(2012年11月11日)。それによると、ウッドフォードには、ある英国の会社が会長に就任してほしいと言ってきているそうだ。また、ある日本の会社が社長になってくれと申し出てきたとも言う。しかし、今は、この本の映画化の権利を欲しがっている映画会社と話をしているという。

ウッドフォードの戦いはそう簡単なものではなかったそうだ。ジェイク・アーデルスタインというアメリカのジャーナリストで日本のヤクザの権威が、ウッドフォードに命が危ないぞと言ったという。またロンドン警視庁の刑事が、ウッドフォードのロンドンのアパートを訪れ、緊急暗号を与え、郵便受けを塞ぐようにと言ったそうだ。何者かがそこから火をつけるかもしれないからだという。ウッドフォードの妻は、非常に怖がり、真夜中に叫んで目が覚めることがあったそうだ。

日本のメディアは、このスキャンダルを取り上げるのが遅かったが、外国のメディア、ウォールストリートジャーナル、ファイナンシャルタイムズ、そしてサンデータイムズは執拗だったという。

サンデータイムズ紙の記者は、ウッドフォードは、欧州で2回腐敗を曝しだし、会社の中で、腐敗を暴露するという評判があったのに、なぜ秘密を抱えるオリンパスがウッドフォードを社長に任命したのかと疑問に感じている。それでも根本は、残念ながら日本には体質が旧態依然で時代に適合できていない会社がかなりあるということのようだ。