政治家への専門家のアドバイス

2010年総選挙の3党首TV討論で自民党のニック・クレッグ党首が大きな成功を収め、クレッグブームが始まったが、その陰でクレッグは専門家のアドバイスを受けていたことがわかった。しかもこの専門家は、8月初めのスコットランド独立住民投票に関するTV討論で、独立反対側のアリスター・ダーリング前財相にもアドバイスしていたという。ダーリングはその生真面目すぎる性格で面白みや迫力に欠けると見られていた。そのため、討論で賛成側のスコットランド首席大臣のアレックス・サモンドに劣ると思われていたが、しつこく通貨の問題でサモンドに答えを迫り、予想を裏切り、ダーリングに軍配が上がる結果となった。 

この人物はスカイニュースのニュース・プレゼンターだったスコット・チゾム(Scott Chisholm)である 

この人によると、自分の言いたいことをわかってもらうには、簡単な言葉で話すことが大切だという。イギリスの代表的な経済紙ファイナンシャルタイムズは12歳にわかるような言葉を使って書いているとし、一般の大衆紙は8歳から9歳を念頭に置いているそうだ。新聞雑誌記者と話す時にはこのことを考えておかなければならないと警告している。

また、テレビの視聴者に話す時には、視聴者が10歳の子供のように話すことが必要だという。もし、聞き手が、話を聞いてすぐに理解できず、頭の中でプロセスしなければならないようなら、その次の3語から6語が頭に入らないという。つまり、10歳の子供が聞いてすぐにわかるような話をしなければならないというのだ。 

これは、恐らく、政治家に限らず有用なアドバイスだと思われる。

トップ政治家の妻たち

トニー・ブレア元首相の妻シェリーは著名な弁護士、ゴードン・ブラウン前首相の妻セーラはPR会社の設立者、デービッド・キャメロン首相の妻サマンサは貴族の出で、高級文具雑貨のスマイソンのクリエイティブ・ディレクターだった。 

ブレアは弁護士事務所でシェリーと知り合い、結婚。二人とも政治家をめざし、どちらか早く下院議員になった方をもう一人が支えるという約束をし、たまたまブレアが早く下院議員になったのでシェリーは政治家をあきらめたと言われる。 

ブラウンは労働党のPRの仕事をしていたセーラと知り合い、ブラウンが財相時代に結婚した。その結婚式は親しい人たちだけの質素なもので、出されたシャンペンはスーパーマーケットのセインズベリーズの自社ブランドだった。

キャメロンは妹にサマンサを紹介された。結婚する前、キャメロンは内務相のスペシャルアドバイザーをしていたが、収入が少なかったので、メディア関係の会社に移って役員となったと言われる。そして下院議員となった。

いずれもかなりの能力のある女性で、妻の方が夫の収入を上回る状態だった。

それはニック・クレッグ副首相の場合もそうである。自民党の党首であるクレッグは、妻のミリアムにベルギーの大学院時代に知り合った。妻はスペイン人で、知り合った時にはフランス語で会話をしていたという。ミリアムは弁護士で、現在はロンドンのシティの大手弁護士事務所に勤務している。 

エド・ミリバンド労働党党首の妻ジャスティンも環境問題の弁護士で、野党第一党である「対立政党」の党首として年俸13万ポンドを受けているが、それよりも多い年収20万ポンド(3500万円)と言われる。ミリバンドがブラウン財相の下でスペシャルアドバイザーをしているときディナーパーティで知りあったが、ケンブリッジ大学で法律を学んだジャスティンが、なんと頭がいいのだろうと思ったと言われる。2009年に最初の息子が生まれたが、結婚したのは2011年。20109月に労働党党首となった時には、労働党史上初めての結婚していない党首だったという。

ブレアが1994年に労働党の党首選に立った時、盟友ブラウンのことを心配して躊躇するブレアにシェリーが促したと言われるが、ミリバンドの場合もジャスティンが「人生は冒険」と言って励ましたという。ミリバンドは実兄のデービッドを破って党首となった。 

イメージでキャメロン首相に劣るミリバンドだが、9か月余り先の総選挙に向けてジャスティンを「秘密兵器」として使う動きが労働党で始まっている。ジャスティンは、国の運営を大きく改革できるのはミリバンドだけだと信じているそうだ。

ジャスティンは保守党のオズボーン財相の妻フランシスと親友で、かつて一緒に南米のバックパッキング旅行に出かけた間柄だ。政治家の妻がどのようなものかよくわかっていると思われる。そのジャスティンの効果がどの程度あるか、その結果が待たれる。