政治家の容貌の効果(Appearance: Important for Politicians?)

政治家の容貌は大切だろうか?有権者は政治家の容貌を見て誰に投票するのか決めるのだろうか?そこまで絶対的に言えないとしても、多くの人は、政治家の容貌は重要だと言うだろう。実際これは、心理学の研究でも認められている(例えば、Political Psychology, April 2011; Physical Attractiveness and Candidate Evaluation: A Model of Correction by William Hart, Victor C. Ottati, Nathaniel D. Krumdick や、European Journal of Political Research, January 2008; The frog pond beauty contest: Physical attractiveness and electoral success of the constituency candidates at the North Rhine-Westphalia state election of 2005, by ULRICH ROSAR)また、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン教授も最初の印象は極めて大切だと言う。

1月16日のサンデータイムズ紙の世論調査の中で、労働党党首のエド・ミリバンドは首相になるには醜くすぎると思うか?という質問を行った。結果は?10%の人がそう思うと答えた。かなり少ない。しかし、この世論調査を見るまでミリバンドが醜いかどうかなど考えてみたこともなかった私が、今やミリバンドが醜いかどうか考えることとなった。

この質問に対しては、そのような質問はするべきではない、とかなり批判的な意見がある。一方、これまでなされた研究を考えると、そういう質問は妥当だという見解もある。例えば、タイムズ紙のDaniel FinkelsteinやUK polling reportのAnthony Wellsだ。後者は、その世論調査を実施した世論調査会社に勤めているが、次のような研究を指摘している。
(http://www.mit.edu/~glenz/looking_the_part.pdf)

しかし、この研究やPolitical Psychologyの論文では、政治のエキスパートはより客観的に政治家を見ることができるが、そうでない人は、容貌により大きく影響される傾向があると指摘している。だからこそ、例え、世論調査に応じた人の数は1800人足らずで、また、それを見出しに取りあげたインターネット版の記事や、見出しには出ていないその新聞記事に関心を示すような人が多くないとしても、これらの人々の心にそのような印象を残す質問は、もし新聞が「公器」と自覚するなら避けるべきだと思われる。

困難な時にこそ政治家は夢を語れ(Politician’s messages in times of trouble)

年末年始の新聞報道で、特に印象に残ったのは、12月30日のタイムズ紙の社説である。この社説では、野党第一党、労働党の党首、エド・ミリバンドの新年のメッセージが取りあげられ、困難な時に政治家がどういうメッセージを出すべきかに触れている。ミリバンドは、困難な時には、我々の目標を下げるのではなく、逆に上げるべきだと言ったのである。タイムズ紙は、苦しい時に、国民に我慢、耐え忍ぶことを求めるだけでは十分ではない、国民に、国が復興する、そして将来への明るい見通しが感じられるようなビジョンを提供しなければならないと言うのだ。ところが、現在の保守党・自民党の連立政権は、そのようなものを提供していないと指摘する。通常、タイムズ紙は、あまりミリバンドを評価していないが、この点では、私も同感だ。英国、日本に限らず、苦境に立っている時こそ、政治家は将来の夢を大いに語る必要がある。