総選挙結果の予測

57日に行われる総選挙は、結果を予測するのが近年になく難しいと言われる。それでも、イギリスの賭け屋は、過半数を占める政党はないだろうと見ながらも、保守党のキャメロンが首相として継続する可能性が高いと見ている。

ある投資銀行の予想では、過半数を占める政党はないだろうとしながらも、保守党が政権に就くだろうという。予想をしたゴールドマン・サックスのチーフエコノミストは、1992年の総選挙で、事前の世論調査では労働党勝利の予測だったが、保守党が勝った例を挙げ、世論調査で、経済運営で、保守党が労働党を大きくリードしていたことに注目している。つまり、現在の世論調査で、経済運営で保守党が労働党に大きく差をつけており、それが繰り返される可能性があるというのである。それにあわせ、選挙が近づいてくるにしたがって、保守党の支持を奪っているUKIPの支持が衰えるだろうとの見通し、さらに2015年には所得が向上すると見ており、これらの結果、保守党がわずかの差で最大政党となるだろうと見ている。 

1992年の総選挙の事前の世論調査と結果の差は、これまで多くの議論がある。例えば、サン紙は、その反労働党のキャンペーン、特に投票日当日のものが大きな影響を与えたとして、サンが保守党に勝たせたと主張した。一方、世論調査会社は、世論調査と実際の結果が大きく異なっていた事態を重く見、分析の結果、この差の幾分かは、「Shy Tory(内気な保守党支持者)」にあるとした。これは、世論調査の際に、人頭税などの問題で人気を失っていた保守党に投票するとは言いづらく、その結果、保守党に投票するとはっきりと言わなかったためだったという分析である。それ以来、世論調査会社は、その前の選挙でどの党に投票したかを尋ねるようになった。前回の投票行動と次回の投票行動にはある程度の相関関係があるためである。

ゴールドマン・サックスの分析で、経済運営の評価と投票結果を結びつけたのは、興味深いが、仮説であり、それが証明されたわけではない。現在の段階では選挙の大まかな方向性は分析できても、具体的には、今後の政治状況の展開によるだろう。例えば、今冬のNHSがどうなるか、イギリスの経済状況、さらには政治スキャンダル、それにもしかすると、フランスのパリでおきたようなテロリスト攻撃があるなどの状況で政局は変わる。

幾つかの選挙結果予想が出されているが、保守党と労働党の差はあまりない。これからの政治状況の変化が注目される。

TV討論を避けるキャメロン首相

2015年総選挙では、2010年の際のような党首のテレビ討論はないかもしれない。ただし、保守党のキャメロン首相がミリバンド労働党党首との11のテレビ討論には出演する可能性、または、保守党抜きのテレビ討論が行われる可能性がある。それでもキャメロン首相が保守党の党首としてイギリス独立党(UKIP)と一緒に登場することはないだろう。

イギリスの主要なTV局は、昨年10月、テレビ討論の形について合意している。3回のテレビ討論のうち、1回はUKIPが参加し、主要3党、保守党、労働党、自民党とともに討論する計画だった。しかし、キャメロン首相は、UKIPが招かれ、緑の党が招かれないのは不公平だとし、緑の党が招かれなければ出ないと主張したのである。

テレビや通信を監視する放送通信庁(Ofcom)がUKIPを主要政党と認定した。昨年5月の欧州議会議員選挙でUKIPがイギリス選挙区1位となり、また昨年10月、11月に行われた2つの補欠選挙でUKIPが勝った。また、世論調査では労働党、保守党に続き、第3位で10%台の支持を集めている。一方、Ofcomが主要政党と認めなかった緑の党は2010年に1議席を獲得、最近、世論調査で支持を伸ばしているもののその支持は1桁に留まる。

キャメロン首相の発言に対し、UKIPや労働党は、キャメロン首相は、テレビ討論に怖気づいていると批判したが、キャメロン首相がテレビ討論に出たくないのは明らかである。

2010年の総選挙では、イギリス史上初めて選挙期間中に党首のテレビ討論が行われた。3回行われ、有権者の関心が強く、第一回目には1千万人が視聴した。その結果、クレッグ自民党党首の大きなブームが起き、クレッグマニアと呼ばれるほどの現象となった。 

選挙後、保守党の元副幹事長アッシュクロフト卿が、保守党はこのテレビ討論のために過半数を獲得できなかったと指摘し、このテレビ討論に合意したキャメロンを批判した。この見解を支持する人は多い。

結局、キャメロン首相は、テレビ討論への出場は、リスクが大きすぎると判断し、避けようとしていると思われる。首相である自分が出演することで、討論に参加する他の政党に注目される場と権威を与え、有権者の関心を増す可能性がある。さらに討論で必ず勝てる、もしくは保守党の評価が上げられるという保証がない。5月の欧州議会議員選挙前に、自民党のクレッグ党首・副首相がUKIPのファラージュ党首に討論を申し入れ、二人だけの討論が行われた。クレッグはこの討論にかなり自信を持っていたようだが、討論ではファラージュ党首のパフォーマンスに大きく劣り、自民党には大失敗に終わった。

キャメロン首相がファラージュ党首との討論を避けたいと考えているのは明らかであり、むしろテレビ討論そのものにリスクがあると判断していると思われる。