リフォームUK党が7議席を獲得する可能性

7月4日の総選挙を前に、右のリフォームUK党の支持が拡大している。直近のSurvationのMRP予測では、リフォームUK党の獲得議席予測を7議席とした。この7議席には、党首ファラージュの立候補しているクラックトン選挙区、並びに保守党からリフォームUK党に所属政党を替えたリー・アンダーソンのアシュフォード選挙区が含まれている。

ただし、この予測は、調査時点で、どの政党の候補者が優勢かを示したもので、もし総選挙までに2.5%の票が二番手の候補者に移動すれば、138議席の結果が変わるとする。Survationは、リフォームUK党が12議席獲得する可能性も指摘している。リフォームUK党はまだマニフェストを発表していない。

なお、英国の総選挙は、下院(庶民院)の選挙である。上院(貴族院)は、一部世襲貴族の議席があるが、基本的に任命制で、公選ではない。下院の選挙は、単純小選挙区制で、一つの選挙区から最も多くの得票をした候補者が1名だけ当選する。そのため、リフォーム党のように、広く薄く支持が広がっている場合には、当選者を出しにくい。

Survationは、以下のように予測する。(5月31日から6月13日の間に、オンラインまたは電話で42,269人にインタビューした。)

政党名2019年総選挙議席数2024年予測
労働党202456
保守党36572
自民党1156
SNP4837
リフォームUK党07
プライド・カムリ42
緑の党11
(議長)11

(注1:総選挙で選ばれる議席数は650である。ただし、北アイルランド(アイルランド島の北)に割り当てられた18議席は、地域の特性のために基本的に地域政党間の争いであり、このような議席予測では通常除外して考えられる。すなわち、北アイルランドの議席を除いた632議席での予測となる。注2:SNPはスコットランド国民党、プライド・カムリはウェールズの地域政党)

リフォームUK党に票を奪われている保守党

6月13日、YouGovの世論調査で、ナイジェル・ファラージュ率いるリフォームUK党が19%の支持率を記録し、スナク首相率いる保守党を初めて1%上回った。6月14日の総選挙報道は、このニュースが中心になって動いた。

世論調査の権威、ジョン・カーティス教授によると、リフォームUK党が保守党を上回ったのは、数ある世論調査の中でも一つだけで、他の世論調査では、今週、リフォームUK党が支持率を11%から16%に上げているものの、保守党が4〜5%上回っていると分析する。ただし、リフォーム党に支持を移しているのは、もっぱら保守党からだと指摘する。

また、ブリストル大学のポーラ・サリジ教授によると(BBCラジオWorld at One)、リフォームUK党の支持層は、移民の問題に特に強い関心を持つ高齢者男性で、保守党に失望しており、保守党には帰らないと言う。

一方、リフォームUKのファラージュ党首は、保守党をリフォームUKが入れ替えるくらいの意気込みではあるが、実体が伴っていない。ファラージュがリフォーム党の党首に就任し、総選挙に立候補したのは、総選挙が既に始まっていた6月3日であった。政治資金もなく、時間もないとの指摘がある。それでも、保守党は、対処策に苦慮しており、大きな痛手である。

その上、自民党が保守党の強かった地域で着実に支持を伸ばしており、自民党の副党首が保守党の80議席を視野に入れていると発言した。保守党の打つ手は乏しい。