保守党の下院議員ダグラス・カースウェルが突然離党し、イギリス独立党(UKIP)に移り、イギリス政界に大きな衝撃を与えた。カースウェルは、党を替えたため再び選挙の洗礼を受ける必要があると自発的に議員を辞職したため、補欠選挙が行われる。その選挙区の世論調査の結果、カースウェルが地滑り的大勝利を収めることが確実であることがわかり、政界は再び大きなショックを受けている。
2010年総選挙でUKIPはこの選挙区で候補者を立てなかったが、この世論調査では、その時と比較して以下のような結果が出た。()内は2010年総選挙との比較。保守党20%(-33)、労働党13%(-12)、自民党2%(-11)、そしてなんと UKIP 64%(+64%)である。
カースウェルの地元選挙区でのこれまでの活動ぶりは非常に高く評価されているが、それを受けて、UKIPに投票すると言う人の3分の1がカースウェルを気に入っているから投票するという。UKIPが気に入っているから投票するという人は57%、現在の政治に不満を持っているのでUKIPに投票するという人が9%という結果だった。イギリスでは一般に有権者は政党に投票する。これほど高い個人票を集めるのはかなり異例である。
この補欠選挙は保守党大会直後の10月上旬に実施すると見られている。6月のニューアーク補欠選挙で行ったような運動員の大量動員を行うと思われるが、それがどの程度の効果を生むか注目される。どのような結果となっても保守党の次期総選挙の準備に大きな影響を与え、多くのエネルギーを奪うのは間違いない。
もし、この世論調査で示されたような結果が出れば、保守党を大きく揺るがせ、さらに保守党からUKIPへ移る議員が出るばかりか、保守党は、1997年総選挙で欧州統一通貨問題を巡って混乱に陥ったようになる可能性がある。当時存在したレファレンダム党に票を奪われることを恐れた保守党下院議員たちが、当時のメージャー保守党政権の方針に反して、勝手に欧州統一通貨反対を訴え出したのである。結局、メージャーはそれを自由にさせることになり、保守党の地滑り的大敗の一因となった。