日本では、2021年9月29日に、政権政党である自民党の総裁選挙が行われる。4人の立候補者が、これからさらにそれぞれの政策を明らかにしていくと思われるが、今の日本の課題について述べておきたい。
2021年11月に英国で行われる環境問題のCOP26では、長期的な対策と現状、行動計画が話し合われる。これは、問題が地球規模であることから、長期的に取り組まねば解決できないという認識に基づいている。まず、問題の認識を世界的に共有し、その対策へのゴールを設定し、それを基に、現在から将来へ向けて取りうる対応を設定するというアプローチだ。日本の課題にも恐らくそのようなアプローチが必要なのではないかと思われる。
日本の課題1. 高齢化並びに人口減少社会
日本の65歳以上の人口は全国民の29%近い。また、現在1億2500万人ほどの人口が2060年頃には、8000万人余りとなり、また、65歳以上の人口の割合は40%にもなると予想されている。ここでの問題は、人口減少が社会に与える負の影響と、そのような高い割合の高齢者を含む社会がどのように機能していけるかである。また、人口減の大きな要素である出生率の改善には大きな発想の転換が必要なのではないか。
日本の課題2. 停滞する経済
バブル崩壊後の「失われた10年(Lost Decades)」の日本に与える影響は大きい。1990年代以降、既にこの問題は30年余り続いている。アベノミクスは、この問題を主に金融政策で対応しようとした。株価は上がったものの、日本の経済の生産性の向上や構造改革に大きな効果があったとは言えない。どのような社会を目指し、その社会の達成にどのような経済が必要なのか根本的な検討が必要なのではないか。
日本の課題3.小さな心の社会
日本は、生まれながらの日本人が比較的多い社会で、型にはまった考え方が強い社会性があり、世界的にみると、心が小さいと思われる面がある。
① 女性差別 女性の能力が十分に生かされていない例は多いが、ここでは、政治の世界を見てみよう。女性の国政参加(特に日本の衆議院にあたる議会)の世界的な比較では、調査193か国のうち、日本は164番目である。
② 人種差別 日本人の考え方は次第に変わってきているが、この問題は多くの日本人が自ら気がついていないように思われる。
③ 年齢差別 年功序列の考え方の別の面の問題と言える。
上記3つの課題は、いずれも絡み合っている。日本の良いところを伸ばそうとすることは重要だが、それと同時に、より大きな心の社会を作ろうとすることも大切なように思われる。