ウィンドラッシュ世代の在留資格問題で、政府が、移民に「敵意のある環境」を作っていたことに焦点があたった。それに関連し、内相のアンバー・ラッドが下院の内務委員会に呼ばれ、強制退去のターゲット(達成目標)がないと答えた。ところがこれはすぐに事実ではないことがわかり、ラッド内相は下院でターゲットはあったと説明する事態となる。その後、このターゲットは廃止することとなった。
さらに、ラッドがターゲットの存在を知らなかったはずはない事実が次々に出てきている。国家公務員のターゲットについては、移民を管理する国境庁のトップだった人物が、公共放送BBCの看板番組Todayに出演し、このターゲットがないというのは不正直で、政府のどこにもターゲットがあると発言した。
このようなターゲットは、通常、部門全体のターゲットとして提供され、それがさらに細分化され、下に降りていくこととなる。そしてそれぞれの現場の担当者からはじまり、ターゲットが課され、その成果が個人の業績の評価の大きな要因となる。
内務省の問題でいえば、正味の移民数の数が1年に20万から30万人であるのに対し、政府の目標は非現実的な10万人未満であり、その差が大きく、現場の担当者にかかる重圧は極めて大きかったと思われる。それが今回のウィンドラッシュ世代などの問題につながった。
このような状況下で、ターゲットを否定するのは、賢明でないどころか、まさしく自殺行為といえる