イギリスの中央銀行、イングランド銀行がイギリスの経済成長の見通しを2014年3.5%、2015年3%と上方修正した。失業率が6.4%と下がり、2008年末以来の低い数字となった。IMFによると、2013年にイギリス経済は、3.2%成長したと予測されており、G7で2番目のカナダより1%高い。
ユーロ圏が苦しむ中、イギリス経済は順調に見える。経済の78%を占めるサービス部門に頼りすぎているという面があり、経済のぜい弱な点は改善されていないが、中でも特に大きな問題がある。賃金が上がっていないことだ。2014年4月から6月までの賃金アップ率は0.6%で、ボーナスなどの付加的な収入を除くと‐0.2%だった。なお、イギリスのボーナスは日本で多く見られるような誰もが同じ率で月給何か月などといったものではなく、それぞれのパフォーマンスなどに連係しており、必ずしも誰もが得られるものではない。
インフランド銀行の2014年の賃金上昇率見通しは2.5%からその半分の1.25%に下げられた。インフレ率は1.9%であり、それぞれの人の賃金はインフレに追いついていないことになる。
また、生産性が上がっておらず、雇用が増加したのは低熟練の労働者の仕事が中心であると見られている。
この現状は、ミリバンド労働党党首のマントラ「生活コスト危機」を地で行くようなものと言える。
オズボーン財相は、来年の次期総選挙までに、有権者に好景気を実感してもらい、保守党政権への期待を盛り上げたい意向であった。しかしそれは難しくなっているように思われる。