キャメロン首相らが、大企業にスタッフの人種・民族などの割合を明らかにするよう求めることを考えていると報じられた。これは後に首相周辺が打ち消したようだが、これには保守党が2015年の総選挙、そして将来を心配していることを反映している。
英国の人口動態を見ると、白人の割合が次第に減っているのである。10年ごとに行われる国勢調査で見ると、1991年には全人口のうち94.1%、2001年には91.3%が白人であったのに対し、2011年には86%となった。そして5歳未満の子供で見ると白人の割合はわずかに73%。これが問題なのは、非白人で保守党へ投票する人の割合が極めて低いからである。
2010年の総選挙の分析によると、保守党を支持したのは白人の37%であったが、非白人はわずか16%にとどまった。これはそれぞれの社会階層の違いにはほとんど関係していない。白人の中流階級の44%は保守党を支持し、それ以下の人は32%であったのに対し、非白人の中流階級で保守党を支持したのはその15%にとどまり、それ以下の13%よりわずかに多いだけだった。
保守党は2005年の総選挙で当選した下院議員のうち非白人がわずか2人しかいなかった。キャメロンらの努力で2010年にはそれが11人となったが、300人を超える党所属議員の中では少数派である。保守党が非白人の声も代弁しているという印象を与え、次第に非白人の有権者も取り込んでいかねば保守党の将来はないと心配している。特に、2010年の総選挙で保守党が労働党から奪った選挙区では、非白人の割合が平均6%であったのに対し、保守党と労働党の差の少ないいわゆるマージナルの100選挙区で保守党の獲得できなかった20選挙区の非白人の割合は15%であったという。つまり、非白人が多いほど保守党は選挙に苦しみ、労働党が有利になる。この対応策を講じていかねばならないが、そう簡単なことではない。