保守党と労働党の支持率の差5%

驚くべき展開だ。68日の総選挙まで2週間。この段階で、世論調査の保守党と労働党の差が5%となった。

この総選挙は、当初、支持率の差で労働党に20%余の差をつけていた保守党の地滑り的大勝利は間違いないと見られていた。しかし、徐々に支持を失う保守党と、急速に支持を拡大する労働党との間で予断を許さない展開となっている。もしこの状態が続けば、確実視されていた保守党の過半数獲得は危うくなり、いずれの政党も過半数のない、いわゆるハングパーラメント(宙づり議会)となる可能性がある。

世論調査最大手のYouGovは、メイが総選挙の実施を発表した418日の後の世論調査では両党の差を24%としていた。それが51819日に実施した世論調査では9%、そしてマンチェスター爆弾事件後の52425日の調査では5%となった。

他の世論調査会社の結果も軒並み一ケタの差を示している。51819日以降に実施された世論調査で、2社が12%14%の差の結果だったが、世論調査結果の算定方法の違いによるもので、いずれも恐らく一桁だったのではないかと言われる。

5%の差を出した世論調査と同じ525日夕方に発表されたもう一つの世論調査の会社の方法は保守党に若干有利と見られているが、結果は8%の差だった。

この原因は何だろうか?それは保守党と労働党のマニフェストに原因があると思われる。

労働党のマニフェストの政策は、近年最も左寄りと言われたが、そのほとんどが有権者に人気のあるものだ。一方、保守党の政策で有権者が最も覚えているのは、高齢者ケアに関するもので、国民の多くに強い不安を起こさせたものである。メイは、下がる支持率と、これでは選挙が戦えないとする候補者たちの声を受けて、マニフェスト発表後に異例の方針転換をしたが、その一連の過程は醜いものだった。メイの「強い、安定したリーダーシップ」のイメージを大きく傷つけるものとなったと言える。また、Brexitが中心となる選挙と思われたが、その影が薄くなっている。

メイは、マンチェスター爆弾事件を自分に有利に導くよう努力したが、その効果は限られていたようだ。その上、内相時代の警官数削減が自分に跳ね返ってきている。

これからどうなるか、その展開が俟たれる。