スコットランド国民党SNPは、9月18日の独立住民投票で、スコットランド独立の願いをかなえることができなかったが、それ以降、大きく支持を伸ばしている。独立賛成運動を率いた、スコットランド政府の首席大臣アレック・サモンドは、住民投票の結果が明らかになった後、SNPの党首と首席大臣を退くことを発表した。そしてこのたび、SNP副党首で副首席大臣の二コラ・スタージョンが党大会でSNP党首に就任し、11月19日には首席大臣に就任する。
スタージョンの党首演説で、半年後の総選挙への基本的な考え方が明らかになった。スコットランドはいずれ独立すると考えている。その要点は以下の通りである。
- 次期総選挙では、どの政党も過半数を占めることのないハング・パーリアメントになる可能性が強い。
- SNPが新しい政権を決める役割を担う可能性がある。
- その際、SNPは保守党と手を組むことはないが、労働党とはありうる。
- 労働党と連携すれば、スコットランドにさらに大きな分権ができ、スコットランドの諸問題に関して有利な交渉ができる。
- 保守党を政権につけさせないために労働党に投票すべきだという考え方は誤りで、SNPが多くの議席を獲得すればするほどスコットランドが強くなる。
サモンドの党首最後の演説で、次期総選挙のSNPの目標は、下院のスコットランドの59議席の過半数を獲得することと発言した。過半数、すなわち30議席以上は、現在の世論調査から見てかなり控えめに感じられるが、恐らく、スタージョンに過大な期待がかからないように設定したのではないかと思われる。
SNPは左の政党で、前回の2010年総選挙後も労働党との連携を積極的に進めようとしたことがある。SNPは、次期総選挙の結果、保守党と労働党に続く第三党となることを想定しているようだが、その可能性は極めて高い。なお、拙稿「半年後に変わるイギリス政治」イギリス政治のニュースレター2014年11月1日号参照。