イギリスのウォーキング

ウォーキングはイギリスで人気がある。ただし、イギリスでは、山歩きに近い。ほとんどの場合、山や丘、谷などを歩いてゆき、かなり湿ったところや足元の悪いところを通っていくので、きちんとした登山靴(ブーツ)をはいていく。これは防水とくるぶしを守る意味がある。

イングランドでは最も高い山でも1,000メートルもない。イギリスでもっとも高い山はスコットランドのベン・ネビスで1,344メートルである。つまり、イギリスはかなり平たい国であると言える。イングランドのウォーキングの途中、丘の上からなだらかに波打ったような地形を見ると、それがはっきりとわかる。

それでも、イギリスは縦長の形をしており、南と北では気候も植生もかなり違う。南から北へ自動車で向かうと、道路沿いの木の形が変わっていく。温暖な気候から冷帯ともいえる気候へと変わってくるに従い、植生も変わってくる。そのため、それぞれの地域のウォーキングには、それぞれの特徴がある。 

ウォーキングのルートには公式、非公式のものがあるが、筆者は、妻と一緒にその幾つかを歩いた。特に印象深いのは、イングランド北部を横断するコースト・トゥ・コーストと呼ばれるルートである。もう一つは、スコットランドの西のローモンド湖を通り過ぎて歩くウェスト・ハイランド・ウェイと呼ばれるものである。

コースト・トゥ・コースト(Coast To Coast

概要:アイリッシュ海に面したセント・ビーズから北海に面したロビン・フッド・ベイまでのルートである。セント・ビーズの海岸でブーツの先を海につけ、ロビン・フッド・ベイで再び海につけると海岸(コースト)から海岸まで歩いたということになる。アルフレッド・ウェインライト(故人)が始めた非公式のコースであまり道標がないが、人気がある。かつてBBCがウェインライトとこのコースをシリーズで紹介してから有名になった。湖水地方からヨークシャー・デールを通り、北ヨーク・ムーアズの3つの国立公園を通るコースで、東西で異なる植生も楽しめる。

距離:309キロ

参照ウェブサイト:http://www.wainwright.org.uk/coasttocoast.htmlhttp://en.wikipedia.org/wiki/Coast_to_Coast_Walk                                                                         

ウェスト・ハイランド・ウェイ(West Highland Way

概要:グラスゴーのミルガイからフォート・ウィリアムに向かうスコットランドを縦に歩くコース。地方自治体が共同で管理している。

距離:155キロ

参照ウェブサイト:http://www.west-highland-way.co.uk/home.asp 

さて筆者と妻は、イギリスを縦断するウォーキングを始めた。これは、一般に「ランズ・エンド」・トゥ・「ジョン・オグローツ」もしくは「端から端 (End to End)」と呼ばれるが、私たちは逆のスコットランドのジョン・オグローツ(一般にはジョノグローツと発音される)から始めることとした。少しずつ区切って時間を見つけて歩いていくこととなる。

ジョン・オグローツからランズ・エンド(一般には‘Land’s End to John o’ Groats’)

概要:イギリスの本島であるグレート・ブリテン島の北の端、スコットランドのジョン・オグローツから南西の端、コーンウォールのランズ・エンドまでを縦断するルート。

距離:道路で1,407キロ、徒歩で1,900キロと言われる。

参照ウェブサイト:http://en.wikipedia.org/wiki/John_o%27Groats_to_Land%27s_Endhttp://www.ldwa.org.uk/ldp/members/show_path.php?path_name=Land%27s+End+to+John+O%27Groats 

私たちは2年ほど前に、ジョン・オグローツからスコットランドの内陸部を通り、ヘルムズデールというところまで歩いた。フォーシナードの湿原を通り過ぎたが、ここは野生の鳥などで有名なところである。今回はヘルムズデールからはじめ、インバネス周辺まで歩く予定である。