7月に発足したメイ政権のBrexit準備は、4か月過ぎてもまだ初期段階であることが漏えいしたメモで明らかになった。11月7日付のメモは内閣府(Cabinet Office)に関係した、デロイトという会計コンサルタント会社のスタッフが書いたものだが、メイ政権のBrexit準備は、多くの人が想像していたレベルのものであることが裏付けられた形である。
このメモの筆者は、イギリス政府の中枢(首相官邸は内閣府の一部分)でトップの情報に触れる立場にある。その要点は以下のとおりである。
- メイ首相の焦点は、保守党をまとめ、その支持者向けのメッセージを出すことで、まだBrexitに関する産業関係へは目が向いていない。
- 各省でBrexitのインパクトについての評価、その最悪のケースが起きた場合の計画はあるが、総合的な計画ではなく、Brexitで何を成し遂げたいか、優先事項を特定するにはあと6か月かかる。
- 500以上のBrexit関係のプロジェクトが動き始めているが、これを迅速に行うには、1万人から3万人のスタッフが必要だろう。
- 内閣に意見の違いがある。ジョンソン外相、デービスBrexit相、フォックス国際貿易相の離脱派3人の意見とハモンド財相とビジネス相クラークの意見の対立である。
- メイ首相は、すべてを自分で決めたがるが、このやり方は継続できないだろう。
元閣僚の保守党下院議員ケネス・クラークは、このメモは恐らく正確だと発言した。Brexitの交渉は極めて複雑なものとなると予想されているが、内閣がなかなかまとめられない上、メイ首相は、コントロールフリークで、なかなか決断できない傾向がある。多難といえる。