労働党下院議員で影の女性・機会均等大臣が、かなり悪影響の出ると思われるスキャンダルに対応するため極めて効果的な手段を取った。この議員は、かつてBBCなどでもジャーナリストとして働いた人物である。
スキャンダルは、現在40歳の女性下院議員グロリア・デ・ピエロが、15歳の時に、お金を求めて、トップレスの写真を撮らせたことである。
その写真をあるエージェンシーが探しているという話を聞いて、この議員は、その先手を取った。
その議員はBBCのラジオ番組でそのことを話した上、自分のブログで、そのことに触れた。かつて自分の父親が健康でない時、生活に苦しんでそのような写真を撮らせたと説明した後、それが公表されないことを望むと言ったのである。
この対処の仕方を見て、かつてパディ・アッシュダウン自民党党首が行ったスキャンダル対応策を思い出した。
アッシュダウンは、かつて自分の秘書と関係を持ったことがある。そのことの書面を自分の弁護士に預けていたが、その弁護士事務所に入った泥棒がそれを盗み、新聞社に渡したのである。そのことを知らされたアッシュダウンは、総選挙が迫っている状況も考え、自ら記者会見を開き、自分の秘書とのかつての関係を公表した。
アッシュダウンは、タブロイド紙から「パンツダウン」などと揶揄され、それ以降何度もそれを繰り返されることとなったが、その時の対応の仕方から、総選挙への影響や、自分へのダメージを最小限に食い止めた。
スキャンダルになるようなことに関わりができると、金銭を求めて恐喝される、いわゆるブラックメールされることがあるが、そういう話に乗ってもそれでことが終わるわけではない。むしろ、それを契機にさらに要求されることになりかねない。
それが刑事事件となる、または他の民事訴訟が起こされる可能性のあるような場合は別だろうが、一度自主的に発表してしまうと、それは急速にニュース価値がなくなり、逆にそれを発表したことを賞賛される場合もある。いずれにしてもこういう事態に面した政治家に最も必要なのは、冷静な判断と勇気だと言える。