コービン首相の可能性

68日の総選挙で労働党のコービンが首相となる可能性が出てきた。

531日付のタイムズ紙が、世論調査会社最大手のYouGovの獲得議席数予測を一面トップで掲載した。これは、YouGov5万人の調査から選挙区ごとに分析した結果をまとめたものである。

政党名 予想議席 解散時議席
保守党 310 330
労働党 257 229
SNP 50 54
自民党 10 9
プライドカムリ 3 3
緑の党 1 1
議長 1 1
北アイルランド 18 18

 

なお、この予測では保守党の獲得議席予想数は345から274の幅があるが、上の表通りの結果が出た場合を想定してみる。

北アイルランドでは、2015年総選挙で、民主統一党(DUP)が8議席、アルスター統一党UUP2議席を獲得した。保守党はUUPと特別な関係があり、また、DUPは、EU離脱を支持した。シンフェイン党が支持を伸ばしており、同じような結果が出るとは限らないが、もしDUPUUPが保守党を支持するとすれば、保守党は支持議員の数を10議席伸ばせる可能性がある。シンフェイン党は、4議席だったが、当選しても議会審議には参加しない。もし、その方針が継続すれば、過半数を計算するには、全650議席からシンフェイン党の獲得議席数が差し引かれることとなる。前回と同じ4議席だと仮定すれば、残りは646議席となり、過半数は324議席ということになる。

もし上記の表通りの獲得議席数なら保守党、DUPUUPの合計は320議席で、過半数に足りない。

一方、労働党は、北アイルランドの、前回3議席を獲得した友党の社会民主労働党(SDLP)と、メイ首相のEU離脱方針に反対するスコットランド国民党(SNP)、自民党、ウェールズのプライドカムリ、緑の党の支援を受けられるだろう。すなわち、324議席で過半数を制することとなる。労働党がこれらの政党と連立政権を組むとは考えにくく、少数政権となるだろうが、労働党のコービンが首相となる。

今回の総選挙では、メイ首相率いる保守党が圧倒的に優勢で、最初から結果が決まっているという見方が強かったが、その当初の予想を裏切り、コービンが首相となる可能性が出てきたと言える。