ストライキ制限を求める保守党

保守党は、来年57日に予定されている下院の総選挙のマニフェストでストライキの制限を盛り込むことを発表した。なお、連立を組む自民党は賛成していない。

この基本的な考えは、既にキャメロン首相が明らかにしているが以下のとおりである。 

  1. 組合員の最低投票率を50%とする。つまり、半分以上の組合員が投票し、その過半数が賛成しなければその投票は無効となる。現在は、投票率にかかわらず、過半数が賛成すれば成立する。
  2. 何に投票するかをはっきりとさせ、いつどのような行動を取るかを明記させた上で賛否を問わせる。
  3. 賛成の投票結果が出ても、その効果は3か月のみとする。この7月の公共セクターの大規模ストライキであったように教員組合(NUT)の2012年の投票が今でも有効であるのに歯止めをかけるものである。NUTは過去1年間で3回ストライキを実施した。
  4. 雇用者への告知期間を現在の7日から14日に延ばす。
  5. ピケのルールを強化する。

2013年にストライキで失われた勤労日は443600日で、2012年の2倍近い。しかしながら1970年代の年1300万日や1980年代の年700万日などと比べるとかなり少なくなっている。しかしながら、特に公共セクターのストライキの経済に与える影響はかなり大きなものとなっている。 

もし最低投票率を50%にすれば過去4年間に行われたストライキの3分の2は実施されなかったと見られている。また、それぞれの組合の過激派に組合全体が引きずられるのを防止しようという考えもある。

これらに対して、労働組合会議(TUC)は、既に民主主義国の中では最も強いストライキ法の一つで、これでは労働者の雇用者側との交渉で非常に重要なストライキを実施するのは極めて困難になる。現在の投票は、それぞれの組合員の自宅に投票用紙を郵送しなければならないことになっているが、それを改め、コンピュータやスマホなどでも投票できるように改善すべきだなどと反論した。

保守党は、このストライキ法の強化を総選挙の争点の一つとして取り上げる構えで、特に改正の必要を認めていない労働党との差別化をはかる材料の一つとする考えのようだ。

Business Champion for Older Workersの任命

政府は、中高齢者の雇用と働き続けることを促進するために「中高齢ワーカーのビジネス支援者(Business Champion for Older Workers)」を任命した。 

イギリスでは、55歳から64歳の雇用が増えており、65歳以上で働いている人の数が記録的な水準となっているそうだ。それでも、ビジネスにもこれらの年齢の人たちにも、これまでの古いタイプの考え方がかなり根強く残っており、これを変えていくことが必要であると判断しているからである。

現在では、50代、60代、さらに70代でも老いたとは考えない人が多くなっている。そういう中、定年制は時代遅れとなった。

これらの世代の人たちの勤労能力を軽視することは、それぞれの人の技能、経験、勤労倫理その他、社会にプラスになる要素を無視することとなる。もちろん雇用条件や働く職種によって様々な制限はあるかもしれない。しかし、これらはフレキシブル・ワーキングを導入することや継続的なトレーニングを行うことでカバーできる余地が大きい。

もちろん、誰もが長く働くよう強制されることを意味するのではない。これはそれぞれの個人の選択の問題である。むしろそれぞれに力を与え、働くことを可能にさせる条件を作ることであるといえる。

医療費、ケア費用が大幅に増加する中、年金受給額がこれから減ることが予想され、しかも移民に頼る経済体質から抜け出すには、雇用の場に中高齢者を取り戻すことは極めて重要である。また、NIESRによると、もし誰もが1年余分に働けば、GDP1%アップするという(2013年で160億ポンド(約28千億円))。

イギリスでは、フレキシブル・ワーキングをすべてのワーカーに広げた。また国の年金支給年齢は徐々に引き上げられており、定年年齢はなくなった。しかし、まだまだ十分なものではない。

今でも50歳から国の年金受給年齢までの人で職に就いていない人が290万人おり、この年齢層の雇用率は60%である。これを上げる必要がある。さらに今後10年間で、16歳から49歳までの人が70万人少なくなるのに対し、50歳以上の人は370万人多くなる。これらを考えれば、中高齢者の雇用、活用は政府にとって急務とも言える。