UKIPの2015年総選挙に与える影響

テレグラフ紙によると、労働党の選挙分析では、来年の総選挙でもしイギリス独立党(UKIP)が9%の得票をすれば労働党が勝てると見ているという。

現在の世論調査では、UKIPの支持率は、YouGov/Sunday Times13%。これが現在の平均のように思われる。この支持率が9か月余り先にどうなるかは今のところ予断を許さない。ただし、最近発表された世論調査の結果によると、UKIPは保守党の現職下院議員のいる2選挙区で議席を獲得する勢いと見られており、UKIPの支持率が大きく下がるとは考えにくい。

UKIPは、5月の欧州議会議員選挙で27.5%の票を獲得し、イギリス選挙区で最多の議席を獲得した。労働党の支持層への働きかけを強めているが、UKIPが過去の保守党支持層から最も多くの支持を集めている事実は変わりない。

労働党はミリバンド党首が、イメージでは、自分はキャメロン首相に勝てないと示唆し、政策で勝負する立場を明確にしたが、現在の状態に甘んじているつもりはないようだ。キャメロン首相にはビジョンがないとの批判があり、その点を突いていくのは間違いないと思われる。保守党がUKIP対策にどのような手を打つことができるか、それが選挙の結果を決めることになりそうだ。

キャメロン首相の先走った行動の原因

マレーシア航空MH17が撃墜されたことで、それに関与したと見做されているロシアへの制裁をめぐり、キャメロン首相はEUがロシアに強い制裁を科すことを提唱した。そしてフランスのヘリコプター輸送船のロシア納入を批判した。

ところが、イギリスからロシアへの武器・部品・材料の輸出許可が有効のままであり、保守党がロシアの富豪から献金を受けていたりしたことがわかり、キャメロン首相の制裁に対する立場に疑問が出ている。

MH17の被害者にはイギリス人10人が含まれており、イギリスが強い立場を取ることは当然ともいえるが、キャメロン首相の威勢の良い言動にはきちんとした慎重な情報収集と判断力に欠けている面があるようだ。

これは先だっての欧州委員会委員長の選任を巡ってのキャメロン首相の言動と同じパターンである。

もちろん首相が自ら情報収集をするわけではない。そのスタッフが実施し、それをふるいにかけてキャメロン首相のもとへそのエッセンスだけが伝わることになる。しかし、これらの状況を見ると、そのスタッフに問題があるのではないかと思える。

実はこの問題は既に何度も指摘されていることであるが、キャメロン首相は、これまで手をつける意思はなかった。それでも総選挙が10か月足らず先となり、キャメロン首相は、少しでも点数稼ぎをしたい状況となっている。世論調査の支持率には特に改善の兆しは見えていない。それがキャメロン首相の行動に先走り傾向の出ている原因となっているように思われる。それを考えると状況は必ずしも良くなるとは言えないだろう。