スターマー首相の若手人事

7月5日に首相となったばかりのスターマー首相は、7月9日にNATOの会議に参加するため、アメリカに飛び立った。その前にスターマー政権の準閣僚以下の人事に手を入れた。

新しく下院議員になった人も5人含まれている。旧態依然の政治のルールやシステムを変えて行くため、また近年のテクノロジーの急激な進展を考えると新しい人を段階的に入れて行くのは意味があるだろう。

さらに保守党のスナク前首相は下院議員になってから7年半で首相となり、スターマー首相は9年で首相となった。有望だと思われる人には早くから機会を与えていくのは理屈にかなう。

新人の任用で、最も注目されるのは、38歳のジョージア・グールドである。任命されたポストは、政府全体をまとめる立場の内閣府の準大臣職の一つで、省庁を超えて政策を実施していく立場である。2017年からロンドンのカムデン区の自治体のリーダー(当該地方議会の最大会派のリーダーで区長職相当の役割を担う)を努めてきた。また、ロンドンの区全体の会の委員長でもあり、有能な人材であるのは間違いなさそうだ。

スターマー政権が始まり、スタートダッシュで、次々に新しい方針が発表されている。新しい人材がどの程度スターマー政権の目標達成に貢献できるか注目される。

北アイルランドを訪れたスターマー首相

7月4日の総選挙で労働党を大勝利に導き、首相に任命されたスターマー首相が、北アイルランドを訪問し、北アイルランドの主要な政治家すべてと面談した。そして、いずれもから前向きな反応を引き出した。これは極めて驚くべきことである。

北アイルランドでは血にまみれた長い党派の対立がある。1998年のベルファスト(グッドフライデー)合意が、英国、アイルランド共和国そして米国らの努力でなされたものの、その分権政府は、なかなか継続できない状態だ。長期間機能しないままだったが今年になってやっと復活した。

その難しい問題を反映し、英国の政治家には最初から腰が引けていた人が多い。しかし、スターマー首相は、かつて北アイルランドの人権問題の公式なアドバイザーをしていたことがあり、北アイルランド問題には詳しい。誰がどのような立場かよくわかっている。スターマー政権下で北アイルランドの政治の安定化が進むことを祈っている。