保守党党首選候補者

7月4日に行われた総選挙で歴史的な敗北をした保守党は、新しい党首を選出するために党首選を実施している。その党首選への立候補は、英国時間で7月29日午後2時半に締め切られた。

立候補者の数は6人である。まず保守党下院議員の投票で2人が党首選から除外され、4人が9月29日から10月2日まで開かれる党大会で紹介される。保守党下院議員のさらなる投票で、その4人のうち2人が除外され、残った2人の候補者から保守党の党員によるオンライン選挙で1人が選ばれ、11月2日に発表される。

そのうち、賭け屋が本命と見ているのは、ケミ・ベイドノックである。元国際貿易相。44歳で、両親がナイジェリア出身の黒人女性である。保守党の右の候補である。

党員によるオンライン投票に残る2人のうちのもう1人は トム・トゥーゲットハントが有力視されている。51歳。住宅相やセキュリティ相を務めた。

なお、スエラ・ブラバマン元内相も有力な候補の一人として見られていた。44歳のインド系の元内相の弁護士である。保守党関係のある団体の党員の支持調査の結果では、ブラバマンが他の候補に大差をつけている。本人によると、立候補に必要な10人の推薦人はいるが、現在の保守党下院議員の支持を得て、最後の2人に選ばれる可能性は少ないので、今回は見送るという。リフォームUK党を保守党に吸収すべきなどとかなり極端な意見の持ち主である。ベイドノックがどの程度、党首として党をまとめられるかを見極め、その後で、去就を決める判断をしているのかもしれない。

保守党の将来

2024年7月4日の総選挙で、歴史的な大敗を喫した保守党。チャーチルやサッチャーなど世界的に、また歴史的に有名な政治家を生んだ政党だが、これからどうなるのだろうか。

2024年7月4日総選挙結果

政党名2019総選挙議席数2024総選挙議席数2024年得票率%
労働党20141233.7
保守党37212123.7
自民党87212.2
SNP4892.5
リフォーム党0514.3
緑の党146.7
(主な全国政党のみ。スコットランド国民党SNPは地域政党だが、2019年総選挙では、スコットランドで48議席を獲得したのでこの表に含めている。緑の党は、スコットランド、北アイルランド、それにイングランド&ウェールズの別々の3党の合計)

大敗北を喫した保守党は、党首のスナク前首相が党首を辞任したが、後継の党首が決まるまで党首を継続するとした。しかし、総選挙直後の混乱のため、次期党首選の方針を決めるまでに時間がかかった。党首選の段取りは以下の通り

  • 立候補するには、本人以外の10人の保守党議員の推薦が必要。ただし、党紀を担当する院内幹事と、党首選を実施する1922委員会の役員は推選できない。
  • 立候補推薦は、7月24日に開始され、7月29日に締め切られる。
  • 9月に下院が再開してから、保守党内で下院議員が投票し、最少得票者が1人ずつ除外され、4人までに絞り込む。
  • 9月29日から10月2日まで開催される保守党大会で、2人に絞り込む。
  • 2人に絞り込まれた2人のうちから、党員がオンラインで投票し、その投票は10月31日に締め切られる。
  • 11月2日に新党首が発表される。

ただし、保守党の問題は、党首を選んだだけでは片付かない。特にその偏った支持層の問題は、極めて大きい。

年齢別の有権者で、誰がどの党に投票したかを見れば、その問題は、一目瞭然だ。世論調査会社YouGovが有権者35000人余りの分析をしている。

18歳から24歳

政党労働党自民党緑の党その他リフォームUK保守党
支持割合%411618898

70歳以上

政党労働党自民党緑の党その他リフォームUK保守党
支持割合%2011351546

下院の任期は5年で、それまでに解散があった場合には、5年以下になるが、仮に5年に一度総選挙が行われた場合、保守党が政権を再び担当できる可能性は5年先、10年先になる可能性がある。現在、保守党への若い層の支持は、リフォームUK党をも下回っている。一方、高齢者層の支持は高くても、将来その層からの支持はあまり期待できなくなる可能性が高い。すなわち保守党の立て直しには、根本的な対策が必要とされている。

そのような対策を提供できる新党首が選べるかどうかが、当面の保守党のカギとなるだろう。