1月27日の田原総一郎さんの「朝まで生テレビ!」で、香山リカ氏と橋下徹大阪市長の間で次のようなやり取りがあったという。
「もし先生たちがみなさん起立して大きな声で歌うようになったらね、本当に犯罪率が下がるんでしょうか。そこの因果関係は、どうやってエビデンスを証明するんでしょうか」。橋下氏の回答は、ルールを守ることを徹底させるという方針だ。香山氏は、それは効果がないと海外でも証明されていると述べた。
(http://www.tanteifile.com/watch/2012/01/28_01/index.html)
香山氏の、ルールを守ることを徹底することは「効果がないと海外でも証明されている」という発言には異議がある。英国でこの1月から教育水準局Ofstedのトップである主任視学官となった人物は、ルールを守る、規律を守ることで、奇跡的に学校を立て直した人物だ(参照:英国では左と見られ、教師に最も読まれている新聞ガーディアン
http://www.guardian.co.uk/education/2011/oct/14/michael-wilshaw-new-ofsted-chief)
私は、実際この学校を訪れ、この人の話を直接聞いたことがある。「ルールを守る」ことはこの学校の教育の柱である。
一方、英国ではリベラルで知られる自由民主党の地方議員が前政権を担当した労働党の施政の問題は「権威への敬意の喪失」だと指摘(サンデータイムズ紙2012年1月8日、News Review p3)したが、同感だと思った。この下で育てられた若者が犯罪を重ねているとも指摘している。これは決して権威に服従せよということではない。労働党政権があまりにも個人の権利を尊重し、その結果、学校や社会の中の「秩序」が失われてしまったことを指している。
教育の場ではルールを守り、秩序を守ることは重要だと思う。ただし、日本では、「ルール」が形骸化し、独り歩きし、それが目的になってしまう傾向があることにはくれぐれも注意しなければならないだろう。「ルール」はあくまでも児童生徒を育む一つの手段に過ぎないからだ。