2024年7月の総選挙で、英国の政治が大きく変わった。特に保守党の弱体化が著しい。
一方、かつて英国のEUからの離脱を提唱したUKIP(英国独立党)を率い、現在、党首として、ナイジェル・ファラージュ下院議員が率いるリフォームUK党が有権者の支持を伸ばしている。リフォームUK党は、全650議席の英国下院で5議席を持つ小さな政党であるが、世論調査の政党支持率調査では、2024年7月総選挙で411議席を獲得し、政権に就いた労働党を上回る勢いだ。2025年4月後半の世論調査では、労働党、保守党、リフォームUK党の3党が20%台の支持率を得ており、リフォームUK党が労働党を上回る世論調査が多い。
リフォームUK党の支持の増加は、有権者がこれまでの政治に不満を持っていることの表れである。労働党は、厳しい財政の制約の中、受け継いだ保守党政権時代の負の遺産を少しずつ改善しようとしているが、たとえ成果が上がったとしても、それらの成果が目に見えてくるのはまだまだ先のことだ。その結果、目立つ政治家のファラージュ党首のリフォームUK党に期待が集まることになっている。
5月1日に行われる地方選挙では、イングランドの23議会にわたって1641議席が争われる。さらに6首長選挙も行われる。2021年にボリス・ジョンソン元保守党首相の下、保守党が地方選挙で地方議会議員を伸ばしたが、今回は、保守党が大きく議席を失う見通しである。元保守党票のかなり多くがリフォームUK党に向かう上、さらに、労働党をはじめ他の政党に向かう。それでも労働党からリフォームUK 党に向かう票もある程度予想され、労働党は、2021年並みとなる可能性がある。
今回の地方選挙の首長の選挙のうち2選挙区でリフォームUK党が勝つ見込みが非常に強くなっている。さらに1選挙区では、緑の党が勝つ見込みも出てきている。
リフォームUK党が伸び、支持者や献金者が増えてきている中、保守党は支持者や献金が減っている。リフォーム党は、今はまだ大きな政治の動きを動かすまでにはなっていないが、注目される。