なぜ英国の人がアイルランド大統領になれるのか?(Who Can Be Irish President?)

2011年11月、マイケル・D・ヒギンズがアイルランド大統領に就任した。この際の大統領選挙には、英国の下院議員で、また北アイルランド議会議員でもある北アイルランド政府副首席大臣のマーチン・マクギネスも出馬した。

マクギネスは、北アイルランド議会で第2の政党であるシン・フェイン党の議員であり、アイルランド大統領選挙に落選した後も、そのまま北アイルランド議会議員で、北アイルランド政府の副首席大臣である。下院議員は、先だって辞職し、2013年3月にその補欠選挙が行われる。

英国の下院議員や地方政府の議員/大臣が、異なった国であるアイルランドの大統領選挙に出馬できることには違和感を覚える人が多いかもしれない。

これには、歴史的な経緯がある。アイルランド憲法で、アイルランドはアイルランドの全島(第2条)としているが、これには北アイルランドを含んでいる。アイルランドはかつて英国の一部であった。アイルランドが独立しようとした時、プロテスタントの人口の多い北アイルランドを英国の一部として残し、残りの主にカトリックの住む南アイルランドに自治、そして独立を認めたという歴史に関係している。

アイルランド大統領選挙には、アイルランド市民が立候補できる。これは、基本的にアイルランドの島内(北アイルランドを含めて)で生まれた人である。前大統領のメアリー・マッカリースは、北アイルランドのベルファストで生まれた。なお、大統領選挙への投票権は、18歳以上のアイルランド共和国の住民でなければならない。つまり、北アイルランドの住民は、アイルランド大統領選挙に立候補できるが、投票はできない。

さらに大統領選挙に立候補するためには、幾つかの条件がある。
①アイルランド国会議員(上下両院の226人)のうち20人以上の推薦
②地方自治体(34ある)のうち4以上の推薦
③本人の推薦(現職であるか元大統領のみ)

このうち、マクギネスの場合は、アイルランドのシン・フェイン党国会議員の推薦を得た。

誰がUKIPを支持しているのか?(Who supports UKIP?)

英国のEUからの離脱を目指して設立された政党英国独立党(UKIP:UK Independence Party)が支持を伸ばしている。政党支持率で伸びているだけではなく、まだ1年半先だが、次期欧州議会議員選挙(2014年5月)への投票動向支持では、キャメロン首相の保守党を上回っている世論調査もある(1月13日発表のComRes/Peopleでは、保守党22%、UKIP23%、労働党35%、自民党8%)。

UKIPの支持が伸びる中、保守党が支持を奪われているようだ。それでは誰がなぜUKIPを支持しているのか?保守党の欧州政策に不満を持つ人たちがUKIPに動いているのだろうか?これを探るため昨年12月、アッシュクロフト卿が世論調査を実施した。アッシュクロフト卿は、かつて保守党の副幹事長も務めた億万長者で、保守党の選挙運動に深くかかわってきた人物である。

まず、誰がUKIPを支持しているのか?調査時点でUKIPに投票すると言った人の2010年の総選挙の投票動向は、保守党45%、UKIP27%、そして自民党が15%であった。つまり、これから見ると、保守党がかなりの支持を失っている。また、年齢別では、65歳を超える人が43%、35歳未満の人はわずか8%。男女別では66%が男性で、女性は34%。つまり、UKIPの支持者には、年配の男性が多いという結果である。

一方、これらの人々は、EUとの関係に不満があるので、UKIPに向かっているという見方が強く、キャメロン首相がこれらの人々の支持を取り戻すカギは、欧州政策だと考えがちだ。しかし、アッシュクロフト卿の世論調査では、UKIPへ投票することを考えている人たちのうち、欧州が最も重要な政策の一つだと言う人は、わずかに4人に1人しかいない(27%)。経済(68%)、移民(52%)そして福祉依存(46%)らの方が欧州問題を上回っている。実は、同様の結果は、YouGovなどの世論調査でも過去に出ている。

しかも、UKIPに投票することを考えている人たちは、UKIPが経済などの重要な問題できちんとした政策を持っているとは考えていない。むしろ、経済政策では保守党が一番だと見ており、キャメロン首相は、首相に最もふさわしく、総選挙では保守党が過半数を占める方がよいと考えている。UKIPは欧州と移民でよい政策を持っていると考えている程度である。

つまり、投票行動を決定するのに政策はそう大きな要素を占めておらず、むしろ移民に対する不満や、主要政党が一般の人々の声を聴こうとしないという印象、さらに現在の英国の様々な問題に対する不満がUKIPへと向かっている姿が浮き彫りになっていると言える。