次期英国総選挙はいつ?

次期総選挙は、下院議員の任期の終了する2025年1月までに行われなければならない。それではいつ頃行われるのだろうか?

これまで、スナク首相が2025年の可能性を否定したとされ、2024年中に行われる見通しが強くなった。さらに予算発表を通常より早い3月6日に行うこととしたため、5月2日の地方議会議員選挙と同時に総選挙が行われるのではないかとする見方も強まった。さらにスナク首相の、総選挙は2024年後半を「仮の予定」としているとの発言があった。

総選挙の投票日は、解散してから25日の平日(土日などを除いた日数)後に行われることになっている。すなわち、首相が解散しなければ、2024年12月17日に自動的に解散される。かつて、首相の解散権を封じた任期固定法が2010年の保守党と自民党の連立政権の発足で設けられたが、それが廃止されたため、首相の解散権が復活した。そのため、12月17日まではいつでも首相の判断で解散の時期を決めることができる。それでもスナク首相の「仮の予定」は、きわめてあいまいだ

スナク首相の場合、3月の予算で減税など、有権者の歓迎する傾向の強い政策を発表した後、解散するのではないかとの憶測がある。ただし、スナク首相率いる保守党は、世論調査で野党労働党に15から20%の支持率の差をつけられている。また、スコットランドの政治を握ってきたSNP(スコットランド国民党)が前党首の失脚などで支持が大きく弱まっており、労働党がスコットランドでSNPを上回る議席を獲得する可能性が高まっている。そのため、次期総選挙では、労働党の勝利が確実視されている。その中、スナク首相は、これからの経済状況などを見極め、また、有権者の関心の高い政策の達成度を考慮し、慎重に解散の時期を模索すると見られる。それでもこれらの状況が大きく変わる可能性は少ない。一方、12月17日の自動解散まで待つと、首相の地位に居座りたいだけで解散のできない意気地なしと言われかねない。結局、2022年10月25日に首相に就任したスナク首相は、2年間首相を務めたとする記録を残すため、2024年11月ごろをめどに総選挙を行うと見る方が確かではないかと思われる。

中途半端なスナク首相(2)

2023年の政治も終結が近い。インフレ率は3.9%と予想以上に下がったものの、スナク首相の頭痛は続く。年初に挙げた今年の5つの公約のうち、インフレ率を半分にするとしたものは、達成できたが、この公約は最初から自然に達成できると見られていたものである。また、これは公定歩合を決定する中央銀行のイングランド銀行の責任範囲である。スナク首相がその達成をどこまで誇ることができるかは疑問だ。一方、スナク首相の統計の使い方は、統計監理局からも批判された

スナク首相の問題は、そのビジョンが欠けていることである。なぜ首相になりたかったのか、何を達成しようとしているのかはっきりとしていない。トラス前政権は、その財政政策で、金融危機を招き、短期に終わったが、その財政政策は、トラスの長年の構想を実現しようとしたものであった。目的がはっきりとしていたのである。スナク首相にはそのような目的が感じられない。政策がとってつけたようにくるくる変わる。そのため、アメリカの億万長者エロン・マスク氏がAIサミットでロンドンに来た時に、自らマスク氏にインタビューし、そのことが、次期総選挙で敗北が間違いないスナク首相は、自分の選挙後のことを考えていると批判されたぐらいだ。

これまでの13年間の保守党政権下の緊縮財政が、社会の至る所でひずみを生んでいる。地方自治体の5分の1近くが破たんの危機にあると言われる。将来を見据えた公共投資不足の影響は大きく、スナク首相は保守党のこれまでのつけに振り回されている。そのために余計にスナク首相の力不足が浮き彫りになっている面がある。

現在、5.25%の公定歩合が2024年には下がると見られている。世論調査の支持率は上がらず、ルワンダへ不法移民を送る政策を巡って保守党内の混乱は続き、ウクライナ戦争、イスラエル・パレスチナ紛争などの国際的な問題が続く中、新しい年がスナク首相には少しは良い年となるだろうか?