政治家の出席する事務次官会議

政府の事務次官会議に、保守党院内総務のマイケル・ゴブが継続的に出席することが明らかになった。

事務次官会議は、内国公務の長(Head of the (Home)Civil Service)を会長として毎週水曜日に開かれる。ゴブの出席は、大臣と公務員たちとの情報伝達を向上させることが狙いだという。ゴブの役割には政府の政策が政府全体に徹底されているかどうかを確認することもあるようだ。また、ゴブには、省庁間の政策の対立の調整や、保守党のマニフェストと政府の政策との調整なども行うようキャメロン首相から命じられており、事務次官たちを良く知ることはそれなりに意味のあることと思われる。

しかし、この場は事務次官たちの不満を漏らす場でもあった。これまで議題に関連して大臣が出席することがあったが、ゴブの出席に事務次官たちは落ち着かないという。

ゴブは、7月の内閣改造まで4年余り教育相を務めた、キャメロン首相の腹心である。非常に強い意見を持ち、内相のメイと対立(拙稿参照)したこともある。大臣として、専門家アドバイザーの任命など公務員改革を積極的に進め(拙稿参照)、公務員との関係、その仕事の仕方などを十分に理解している。そのため、事務次官たちは自分たちが監視されているような気持になるのもやむを得ない面があるように思われる。

政府のオフィスの移転

ロンドン中心部にある政府のオフィスの数が次第に減っている。2010年には143あったが、それが現在71。そしてそれを2020年には23とする予定だ。これは、内閣府の公務員担当大臣のフランシス・モウドの目標である。

財政削減が目的で、地価が高く、維持費の高いロンドン中心部よりも、ロンドン郊外をはじめ、それ以外の地域に移した方がはるかに安いためだ。しかもロンドン中心部の政府所有物件は高く売れ、財政赤字削減に貢献できる。

モウドは、少なくとも、日本の霞が関にあたるホワイトホールで働いている人の半分を他に移転させる意向である。公務員数は既に2010年と比べて17%減っている。

ただし、コストのことを考えるのであれば、イギリス議会の移転も考える必要があると思われる。議会がホワイトホールにあれば、かなり多くの政府機能がその周辺に残る必要がある。また、イギリス議会のあるウェストミンスター宮殿はかなり老朽化しており、大幅な改修か建て直しが必要だと見られている。それならば、議会を移転すれば、より多くの効果が見込める。