ジョンソン首相の信任投票の結果

6月6日午後9時ジョンソン首相の保守党党首信任投票の結果が出た。211人が信任し、148人が不信任とした。保守党下院議員359人(下院の定数は650)が有権者で、全員がどちらかに投票した。その結果、ジョンソン首相は信任された。

ただし、保守党下院議員の41%が不信任したということは、ジョンソン首相にとっては大きな権威の喪失を意味する。これから1年間は政権を維持していけるということとなるが、党内に多くの敵を抱えて、どのように政権を運営していくか注目される。

ジョンソン首相の信任投票の行方

ジョンソン首相の保守党党首としての信任投票が6月6日月曜日の夕方行われることになった。党首選挙を管轄する1922委員会の会長が6月6日朝発表した。保守党下院議員の15%すなわち54人がジョンソン首相(保守党党首)を不信任する手紙を1922委員会会長に書き、信任投票を求めた結果である。会長は前日にジョンソン首相側に知らせたという。投票は午後6時から8時で、その後すぐに開票され、結果が発表される。

投票できるのは、保守党下院議員359人(下院の定数は650)で、もしジョンソン首相が保守党下院議員の過半数180人の信任を失えば、ジョンソン首相は保守党党首並びに首相を辞任することとなる。今のところ、不信任票は過半数をしめないものの、ジョンソン首相が権威を大きく失う結果となると見られている。ジョンソン首相側は、信任されれば、わずかな差であっても党首・首相を継続すると主張している。ただし、ジョンソン首相不信任の結果となっても不思議ではない。

6月23日に行われる下院議員の2つの補欠選挙で保守党が敗れる見通しが高まっている。これらの選挙区選出の保守党下院議員の不品行のため補欠選挙が行われるようになった経緯はあるが、ジョンソン首相が、パーティゲートをはじめ、数々のスキャンダルに見舞われた上、「嘘つき」だとののしられ、自分の都合で勝手にルールを変え、いい加減で、首相の責任を十分自覚していないと批判され、有権者からの支持が大きく減っていることがある。

補欠選挙の行われる2つの選挙区はいずれも保守党男性議員が議席を占めていた。1人は、かつて少年に性的暴行を加えた罪で有罪となり辞職、もう1人は、下院議場や委員会で議事進行中にポルノを見ていたことが発覚して辞職した。このうち、前者の選挙区で行われた世論調査によると、サンプル数が501と通常の半分であるが、労働党が48%、保守党が28%の支持率で、労働党が大きくリードしている。この選挙区では、労働党が勝つと見られる。そしてもう一つの選挙区では、これまで保守党に投票してきた有権者の多くが自民党に投票先をかえていると報じられており、自民党が勝つと見られている。

これでは次期総選挙が戦えない、またはジョンソン首相に保守党が破壊されてしまうと危機感を持つ保守党下院議員が増えている。

ジョンソン首相は、住宅政策を含め、新たな政策を打ち出し、有権者の目先を変えようと懸命だが、打つ手は短視眼的で、効果は限定的だ。その中でも英国式測量法の再導入案には特に批判が強い。EUを離脱したので、もともとの測量単位に戻そうというのだが、ごく一部の懐古趣味の人たちには歓迎されるものの、40歳以下の人はそれに慣れていない上、製造業者のコストが高まる。結局、ジョンソン首相の首相としての能力の不足が顕著になってきたということが背景にあるように思われる。

もし、信任投票の結果がジョンソン信任という結果となると、1922委員会のルールを変えなければ1年間は再び信任投票ができないこととなる。そのためジョンソン首相が継続するとさらに保守党が苦しい立場になる可能性がある。次期総選挙は2025年1月までに行う必要があるが、多くの関係者は2024年の5月頃ごろを想定している。

ウクライナの戦争が進行中であり、しかも燃費、物価の高騰で多くの人たちの生活が苦しくなっている。それらへの対応が急務である。しかもジョンソン首相の後継者がはっきりしておらず、党首選挙で後継者が決まるまでに6から7週間かかり、政治の中枢が麻痺した状態となる。それでも、ジョンソン首相の現在の不安定な政権運営をみると、多くの問題は首相から出てきており、首相を替えた方が保守党と英国にとって良いように思われる。