選挙の票のスイングとは

英国の選挙では、票のスイングという表現がよく使われる。スイングとは、前回の選挙と比べて、一つの政党から対立候補の政党へどの程度の票が移動したかを得票率で計算して表現するものである。

2022年6月23日の2つの下院議員補欠選挙の例で見てみる。

ティバトンとホニトン選挙区

 政党前回選挙2019年得票率 (%)今回の選挙2022年得票率 (%)±
 保守党60.2138.38-21.83
当選自由民主党14.7752.77+38.00

スイングは、(38.00+21.83)÷2=29.91 である。

ウェイクフィールド選挙区

 政党前回選挙2019年得票率 (%)今回の選挙2022年得票率 (%)±
 保守党47.2730.00-17.27
当選労働党39.8147.94+8.13

スイングは、(17.27+8.13)÷2=12.70である。

補欠選挙でさらに弱まったジョンソン首相

6月23日に2選挙区で行われた下院議員補欠選挙は、24日午前4時ごろに結果が出た。予想通りジョンソン首相の率いる保守党が2議席とも失った労働党が1議席(2019年総選挙までは労働党の強い地域で、いわゆるレッドウォール議席)、そして自由民主党が1議席(保守党の圧倒的に強い地域でいわゆるブルーウォール議席)を獲得した。

パーティゲートをはじめとする数々のスキャンダル、保守党下院議員のジョンソン保守党党首の信任投票で予想外に多くの不信任票が投じられたこと(信任211、不信任148)、さらに今回の補欠選挙の結果で、ジョンソン首相の権威はさらに弱まった。保守党幹事長(Chairman of the Conservative Party:党首が指名、任命する)のオリバー・ダウデンは24日午前5時35分に辞任した。

このような重要局面に立ちながらも、ジョンソン首相は、ルワンダで行われる英連邦会議や欧州訪問で一週間海外である。11%にも達する物価急上昇の中、燃費や生活費の高騰で多くの国民が苦しみ、また、鉄道ストライキの終わりも見えない中、ジョンソン首相の立場は苦しい。

保守党の党首選挙を預かる1922委員会が、1年間は2回目の党首信任投票ができないという制度を改めるという憶測が出ている。下院の名誉委員会(Privileges Committee)が、パーティゲートを巡ってジョンソン首相が下院で嘘の発言をしたかどうかの調査でジョンソン首相を非常に厳しい立場に追い込む可能性があるが、ジョンソン首相が保守党党首・首相を自発的に辞任する可能性はほとんどないと見られている。今後の展開が注目される。