新たなジョンソン信任投票の可能性

ジョンソン首相の率いる保守党は、6月23日に行われた2選挙区の補欠選挙で大きく敗れた。政権政党が選挙の谷間の補欠選挙で敗れることはよくあることだが、野党第一党の労働党の勝利した選挙区(ウェイクフィールド)では12.7%の票のスイング、自由民主党の勝った選挙区(ティバトンとホニトン)では、29.9%もの票のスイングがあった。

スイングとは、前回の選挙と今回の選挙でどの程度の票が動いたかを示すものである。特にティバトンとホニトンは、保守党の最も安全な選挙区の一つであった。前保守党下院議員の辞職した経緯があるが、ジョンソン首相への批判が強く、これまで保守党に投票してきた有権者が、労働党より考え方の近い自由民主党に投票するという傾向が出たことと、前回次点だった労働党候補者が再び立ったにもかかわらず、労働党支持者が、保守党に勝たせないよう自由民主党に投票するといういわゆるタクティカルボーティングがあったことが結果に大きく影響した。それでも保守党に投票してきた有権者が保守党に投票しないという結果は、保守党の将来に大きな暗雲を漂わせるものであった。

この中、保守党の党首選挙を預かる1922委員会の党首選挙のルールを変更しようとする動きが強まっている。党首信任投票は6月6日に行われ、211人が信任し、148人が不信任票を投じた。41%もの議員が不信任投票をしたが、ジョンソン首相は生き延びた。現在のルールでは、党首の信任投票が一度行われると1年間は再び信任投票を行えない。しかし、1922委員会では、その18委員の判断でルールを変更することが可能である。この18委員を選ぶための保守党下院議員による選挙が7月21日に行われる。この選挙に、ジョンソン首相に批判的な保守党下院議員たちが立候補を表明している。

ジョンソン首相は、英連邦会議の行われているルワンダからBBC Radio4 Todayのインタビューに答えたが、首相の人格が疑われるような、次から次に出てくるスキャンダルにはまともに返答せず、また、物価高騰の中での生活苦の問題など大切な政策はあいまいなままだ。ジョンソン首相のエンドゲームは始まっている。