新たな議員経費疑惑(New Allegations on Expenses Claims)

2009年に英国国会で多くの議員が議員経費を悪用していたことが暴露され、裁判所で何人もが有罪判決を受けた。この議員経費悪用問題が、キャメロン政権の文化大臣に降りかかってきた。

2009年にこの問題を暴露したのは、テレグラフ紙であるが、今回もテレグラフ紙がこの問題を取り上げた。そして、労働党の下院議員が、議会の倫理基準コミッショナーにこの問題を調査するように求め、このコミッショナーが調査することになった。

今まで報道されている「事実」は以下のようなものである。マリア・ミラー文化大臣は、2005年の選挙で保守党の下院議員に選出された。選挙区は、ロンドンから西に電車で30分余りのところである。1996年、ミラーは、シティの弁護士事務所でパートナーを務める弁護士の夫とともに南ロンドンに家を購入したが、その年、ウェールズに住んでいたミラーの両親が、ウェールズの家を売り払い、この購入した家に移ってきたという。ミラーは自分の仕事の上に、政治的な野心があり、子供の面倒をみてもらうことが目的であったようだ。

2005年に下院議員となってから、ミラーは、選挙区に小さな家を借り、そこを本宅とした。そして南ロンドンの家を第二住宅と指定し、議員の第二住宅に関する経費を利用して、その家のモーゲージ(住宅ローンの一種)の費用をこの議員経費から支払っていた。それは、2009年に議員経費悪用問題が国会を揺るがす大問題となる直前まで続き、それ以降請求をやめていた。2011年にミラーは、この南ロンドンの家を本宅として届け出た。

第二住宅への議員経費は、地方の選挙区から選出されている議員が、住宅費の高いロンドン、もしくはそれぞれの選挙区で生活する補助として設けられたもので、借家や借アパートに住んでいる場合にはその家賃を、物件を購入した場合には、その支払いを補助するものであるが、受けられる支払いには上限がある。

2009年に議員経費問題が発覚した際、コミッショナーが経費請求の基準を明確にし、第二住宅は、議員としての義務を果たすために、議員がもっぱら使用するものでなければならないとし、特に政治家の親を住まわせることは禁じると明確にした。

これまでのところ、どの程度、ミラーがこの南ロンドンの家に住んでいたかなど、事実が十分に明らかになったとは言えず、ミラーの行為が倫理基準に反するものかどうかは不明だが、議員経費制度そのものが2009年まで非常にあいまいな制度であったことを考えると、特に問題はなかったという調査報告が出る可能性はある。

キャメロン首相は、この経費疑惑をマスコミから尋ねられ、ミラーを全面的に支持していると答えた。コミッショナーの結論がどのようになるかは別にして、この疑惑をテレグラフ紙が現在取り上げるのは、レヴィソン報告を受け、ミラーが担当する大臣として新聞業界に自主的で効果的な自己規制組織を作るよう圧力をかけていることに関連しているのではないかという疑いがぬぐいきれない。つまり、キャメロン首相に対して、新聞の自主規制問題をうまく取り扱わなければ、このような疑惑発掘がこれからも続くという一種の警告である可能性である。

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