キャメロン首相の失敗(What a mistake Cameron made!)

大臣が首相官邸前の門を警備する警官にののしり言葉を吐き、平民と呼んだとされる「平民事件」の余波は、非常に大きい。当の大臣は先週辞任したが、この事件によるキャメロン首相と保守党へのダメージは極めて大きいように思われる。キャメロン首相は、この大臣を更迭せず、守ろうとした。それが保守党の「嫌な党」イメージを再認識させているようだ。

オズボーン財相の電車切符事件にもそのダメージが現れている。この事件そのものは何でもないことだが、BBCまで巻き込んだ大きな報道に発展した。ことの次第はこうだ。財相が、19日金曜日に選挙区からロンドンに戻ってくるために電車に乗ったが、それは予定していた電車ではなかった。そこで、普通切符で乗車し、ファーストクラス(日本で言えばグリーン車)に御付の人(スペシャルアドバイザーの一人)と一緒に座った。御付の人は、車掌を探し、事情を説明したが、車掌はファーストクラス料金を別途支払う必要があると主張し、結局、190ポンドほど(約2万5千円)を支払った。

オズボーン財相にとって不運だったのは、ちょうど御付の人が車掌と話した時、そのすぐ横にITVというテレビ会社の記者が座っていたことだ。この記者がこのやり取りをツイッターで報告したために、2時間ほどたってロンドンのユーストン駅に到着した時には、大勢のメディア関係者(BBCも含む)が駅に詰めかけるという事態にまで発展した。

21日日曜日のBBCのラジオ番組で、保守党支持者らのウェブサイト、ConservativeHomeの編集長は、これはノンストーリーだと主張し、こういうものをBBCが報道するのはおかしいと言い張ったが、それはあまり効果がなかった。むしろ、ことの次第はともかくとして、「平民事件」で窺われたように、保守党は、自分たちの権力を笠に着ているという印象を裏付けるのに役立ったようだ。そのラジオ番組の街頭インタヴューでもそれが表れていた。

保守党の中で、キャメロン首相が「平民事件」の大臣を素早く更迭しなかったことに大きな批判があるが、それだけではなく、一般の人、それにメディアのキャメロン首相と保守党へのイメージが大きく悪化することにつながってしまったようだ。