メイ首相の度重なる先延ばし戦術

このようなことがいつまでも続くわけがない。

メイ首相は、27日に予定されている下院の投票で、3月29日のEU離脱日が延期されることとなる危機に直面した。しかも自分の内閣の閣僚や準閣僚らのかなり多くがその案に賛成する見込みだと伝えられた。合意なしの離脱は絶対避けるべきだと主張する人たちである。これはただでさえ権威の失われているメイ首相にさらに大きな打撃となる。

これに対するメイ首相の戦術は先延ばしだった。3月12日にメイ首相の最新の修正案の投票をする。そしてもしこれが可決されなければ、13日に合意なしの離脱をするかどうかの投票をする。それも合意を得られなければ、14日に離脱日を短期間延期するかどうかの投票をするというのである。ただし、延期に合意してもそのような延長は1回だけで6月までに離脱、しかも合意なし離脱の選択肢は残したままだという。この3段階の案は、2月26日の閣議で了承され、その後、下院で発表された。

メイ首相のEUとの合意案で大きな障害となっているアイルランドのバックストップでEUが大幅な譲歩をすると見る人はほとんどいない。イギリスの現在の政治経済に及ぶ不透明な状況はビジネス投資などに極めて大きな影響を与えているが、このままでは、それが少なくとも6月まで続く可能性が大きい。このようなことがいつまでも続くわけがない。

メイ首相は、就任当初から、議会や閣議さえもバイパスしてブレクシットの交渉をしようとしてきた。それが今やこれらから足をすくわれかねない状況だ。