DUPのメイ政権閣外協力

2017年6月の総選挙で下院の過半数を失い、メイ首相は10議席の北アイルランドの民主統一党(DUP)と閣外協力合意をした。閣外協力の代償として、メイ首相は北アイルランドに10億ポンド(1500億円)の追加予算を与えた。そしてDUPはイギリスのEU離脱の交渉に当たってメイ首相と直接コンタクトできる立場にある

そのDUPの協力を得て、メイ政権は、新聞の行動規範に関するレヴィソン委員会の第2の勧告の実施を止めることに成功した。データ保護法案にそれを可能にする新条項を入れようとする試みにDUP下院議員が保守党議員らとともに反対したため、304対295で否決されたのである。

レヴィソン委員会は、電話盗聴問題に端を発した新聞の行動規範に関する問題を調査するためにキャメロン首相が2011年7月に設けた公的調査委員会である。そして2012年11月、委員長のレヴィソン判事が、それまでの新聞の自己規制では不十分だとして、まず公的な権限を持つ監視機関の設立を勧告し、第2段階として新聞の不正な行動や警察との関係の公的調査を勧告したのである。

ほとんどの新聞紙はこれらの勧告に反発した。また、このような公的調査委員会を設けたキャメロン首相を嫌った。そして自ら自主監視機関を設ける一方、第2の勧告の実施に反対した。保守党は、これらの新聞の自主監視機関(Ipso)はその役割を十分に果たしているとし、それ以上の手段を講じる考えはない。また、第2番目の勧告も実施する考えはない。

政権基盤の弱体化しているメイ首相は、これらの新聞に頼っている。一方、それらの新聞が最も恐れているのは、コービン率いる労働党が政権を握ることである。コービンがレヴィソン勧告をそのまま実施するのが明らかなためだ。

DUPは、北アイルランドがレヴィソン委員会の調査に含まれていなかったことを理由に、北アイルランドの新聞の行動規範についての調査を求め、それを実施することとなった。ただし、その結果が出るのは、まだ遠い先のことで4年先のようである。

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